望月慎太郎にとっての全豪オープンテニスは、4ポイント連続で落とし、いきなりブレークされる幕開けだった。
「相手が良いプレーだったし、自分もやっぱり緊張があった」
朴訥な口調で振り返る彼は、ぽつりと続ける。
「ここで試合すること自体、初めてなので」……と。
世界ジュニアランキング1位の実績を思えば意外だが、望月がメルボルン・パークに立つのは、今回が初めてだった。“グランドスラム・オブ・アジア/パシフィック”を謳う全豪オープンではあるが、アメリカを拠点とした望月にとって、オーストラリアは遠い異国。縁や巡り合わせの薄い地だった。
未経験のコートに加え、シーズン開幕戦の香港(ATP250)では初戦敗退を喫していることもあり、立ち上がりは経験不足ゆえの焦りや攻め急ぎもあったという。
ただ第1セットの後半あたりから、「ラリーを続けても大丈夫」との手応えを得た。
「セカンドセットからは少しペースを落として、前に出るだけではなく、我慢してやろうと思えた」
それが、「一番良かった点」だと、試合後に望月が述懐する。
深いフォアと鋭利なバックのアングルショットを組み合わせ、ジリジリとラリーを支配し、相手のボールが浅くなるや迷わず前へ――。
突如として落ち着き払った望月のそのプレーに、今度は相手に焦りが出始めた。第2セット最初のゲームを相手のダブルフォールトでブレークした望月は、6ゲーム連取で第2セットを奪取。相手はトイレットブレークで流れの断ち切りを測るも、望月は一度手にした主導権を放さない。最終セットも6-2でつかみ取る、鮮やかな逆転勝利だった。
昨年の夏、北米の跳ねるハードコートで「相手のパワーにボコボコにされた」と苦く笑った望月だが、全豪のコートは比較的速め。その点も、望月にとってはプラス要因かもしれない。
「ここで勝ったというより、今年の1勝目というのが、僕の中では一番大きい」
勝利から時間が経つにつれ、胸を満たすのは歓喜より安堵。
真っさらなコートに白星の足跡を刻み、地元選手が待ち受ける、アウェーの予選2回戦へと進む。
現地取材・文●内田暁
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「相手が良いプレーだったし、自分もやっぱり緊張があった」
朴訥な口調で振り返る彼は、ぽつりと続ける。
「ここで試合すること自体、初めてなので」……と。
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未経験のコートに加え、シーズン開幕戦の香港(ATP250)では初戦敗退を喫していることもあり、立ち上がりは経験不足ゆえの焦りや攻め急ぎもあったという。
ただ第1セットの後半あたりから、「ラリーを続けても大丈夫」との手応えを得た。
「セカンドセットからは少しペースを落として、前に出るだけではなく、我慢してやろうと思えた」
それが、「一番良かった点」だと、試合後に望月が述懐する。
深いフォアと鋭利なバックのアングルショットを組み合わせ、ジリジリとラリーを支配し、相手のボールが浅くなるや迷わず前へ――。
突如として落ち着き払った望月のそのプレーに、今度は相手に焦りが出始めた。第2セット最初のゲームを相手のダブルフォールトでブレークした望月は、6ゲーム連取で第2セットを奪取。相手はトイレットブレークで流れの断ち切りを測るも、望月は一度手にした主導権を放さない。最終セットも6-2でつかみ取る、鮮やかな逆転勝利だった。
昨年の夏、北米の跳ねるハードコートで「相手のパワーにボコボコにされた」と苦く笑った望月だが、全豪のコートは比較的速め。その点も、望月にとってはプラス要因かもしれない。
「ここで勝ったというより、今年の1勝目というのが、僕の中では一番大きい」
勝利から時間が経つにつれ、胸を満たすのは歓喜より安堵。
真っさらなコートに白星の足跡を刻み、地元選手が待ち受ける、アウェーの予選2回戦へと進む。
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