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海外テニス

「長期の旅をするたび心が痛む」“父親”ジョコビッチが現役続行への葛藤を明かす「あとどのくらいプレーすべきか」<SMASH>

中村光佑

2024.01.11

2人の子を持つジョコビッチにとって、競技への情熱と共に「子どもたちとの時間を逃したくない」という気持ちも強く存在する。(C)Getty Images

2人の子を持つジョコビッチにとって、競技への情熱と共に「子どもたちとの時間を逃したくない」という気持ちも強く存在する。(C)Getty Images

 昨シーズンに四大大会3つ(全豪・全仏・全米)を制し、最多記録を更新する8度目の年間1位も手にした男子テニスの王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア)。今年5月には37歳を迎える彼だが、「40歳を超えてからもプレーを続けたい」と強い意欲を示してきた。

 一方で約15年以上にわたり第一線に身を置き、「引退について考える機会は増えている」とも明かす。先日セルビアのスポーツメディア『Sport Klub』のYouTubeに出演したジョコビッチは、インタビュワーを務めた元世界王者のジム・クーリエ氏(アメリカ/53歳)に対し、家族と過ごす時間を確保しづらい現状を踏まえながら次のように悩みを打ち明けた。

「正直に言うと、少し迷いもある。僕の中にはテニスを愛し、テニスについて全てを知り、そのために人生の全てを捧げる若い時の自分が常にいる。その若い男はまだプレーを続けたいと思っている。一方で僕は二児の父親であり、家族とは遠く離れている。長期の旅をするたびに心が痛むんだ。僕は常にあとどのくらいの期間プレーすべきか、何回大会に参加すべきか、それに価値があるかどうかを考えている」

 パリ五輪が開催される今季は男子選手史上初の「年間ゴールデンスラム」(1年で全四大大会と五輪を制覇すること)に大きな期待が寄せられているジョコビッチ。それにはまず来週開幕する「全豪オープン」(1月14日~28日/オーストラリア・メルボルン/ハードコート)での大会連覇が必須となる。先週の「ユナイテッド・カップ」で痛めた手首の状態は気になるところだが、本人は「全豪でプレーするのは大好きで、四大大会の中で最も成功を収めた場所だ」と力を込める。
 

 だが全豪以降のことは「まだわからない」と言う。「僕はどこに向かいたいのか、何が目標なのかについては、常に明確な考えを持っている。四大大会とオリンピックが目標であることはわかっているが、それ以外の大会をどうするのかはまだわからない」と、今季の具体的なプランは決まっていないと強調。何とか父親と選手生活を両立しようとは考えている中で抱えている葛藤をこう明かした。

「まだハングリー精神はあるから、これからも競技を続けていきたい。僕は何時間でも走れる。それよりも感情的な面、何を優先するかが重要なんだ。テニスこそが20~30年以上僕の優先事項だったが、子どもたちとの時間をあまり逃したくはない」

 とにかくキャリアの終焉を迎えるまでは記憶に残る選手でありたいというのがジョコビッチの大きな願望だ。「テニスの世界とプレーヤーたちの生活を改善するのに貢献する人物として、自分のレガシーを残したいと思っている。テニスに人生の全てを捧げ、魂を込めてプレーし、多くの若者にラケットやその他の(大事な)ものを手に取るきっかけを与えたい」と締めくくった。

文●中村光佑

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