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全豪OPの新ルール、観客の移動緩和に選手から苦情続出!「史上最悪の大会だ!」「混乱して気が散る」<SMASH>

中村光佑

2024.01.18

今年の全豪オープンではチェンジエンドではない偶数ゲーム終了後でも観客の移動が許可された。プレー開始までに席につけないケースも多く、選手から苦情も出ている。(C)Getty Images

 連日熱戦が続くテニス四大大会「全豪オープン」の"新ルール"に、出場選手から様々な声が上がっている。今年から全豪は日曜開幕、15日間の新フォーマットで行なわれているが、それ以外にも新たなルールが追加された。「チェンジエンド(奇数ゲーム後のコートエンド交替時)以外での観客の移動」だ。

 通常ツアー大会では観客の移動は90秒間のチェンジエンドのみで認められているが(第1ゲーム後を除く)、今回の全豪では「チェンジエンド以外の各ゲーム後でも移動を認める」との新規定が設けられた。大会主催側は導入経緯について「規則が緩和されれば、若いファンを呼び込むのに役立つ可能性がある」と説明している。 

 だがこの新ルールを巡ってはすでにトラブルも発生している。ジョーダン・トンプソン(オーストラリア/47位)は1回戦の第2セット途中、移動する観客に苛立ちを見せて主審に注意するよう促したが、主審は新規定を踏まえて要求を拒否。トンプソンはチェンジエンド以外での席移動が認められたことは知らなかったと言い、「嘘だろ!? なんてこった…これは史上最悪の大会だ!」と激高した。

 また元世界女王のビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ/現22位)も初戦後の会見で観客の移動の緩和を痛烈に批判。

「私たちは時々意味のないルールを作り続けているように感じる。チェンジオーバーの時間を短縮する流れなのに、観客が座るのを待つのよね? もちろん、人が動いている状態でプレーしてもコートサイドならあまり気にならないけど、コートの前後方で動いていると気が散ってしまう。特に相手がサービスを打つ時はその可能性が高い。それならなぜ1分半とか十分な移動時間を確保しないのかが理解できない」と不満を口にした。
 
 世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)は混乱を呼んでいる新ルールに理解を示しつつも少々困惑した様子。1回戦後の会見では自身の長年のツアー経験を踏まえ、次のように意見を述べた。

「ティアフォー(アメリカ/17位)は試合中に観客が自由に歩いたり話したりできるようにすべきだと言っていた選手の1人だが、それは難しいと言わざるを得ない。新規定はある程度支持するが、同時にこれまでのキャリアで特定の雰囲気(チェンジエンド時の移動)に慣れてきた。それが変わるとちょっと混乱して気が散る。今日はチェンジエンドでもないのに、観客を席まで入れるのにかなりの時間をロスしていた。対戦相手も観客が座るのを待っていて、非常に遅くなった」

「それが本当に最良のルールかどうかはわからない。ただ大会やファンからすれば待ちたくないわけだから、おそらくその方が良いのだろうとは思う。彼らは試合を見て、全てのポイントを楽しみたいと思っているからね。僕はその2つの考えで戸惑いがある」

 特にベテラン選手は移動の緩和に慣れるまで時間が必要なのは確かだ。より多くの選手から意見を聞いてみたいものである。

文●中村光佑

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