専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

17歳の黄川田莉子が全豪OPジュニアでグランドスラムデビュー「すごく良い経験だった」<SMASH>

内田暁

2024.01.23

昨年の「Dunlop Road to the Australian Open」で優勝し、全豪OPジュニアの本戦出場権を獲得した黄川田は、グランドスラムの舞台に初めて立った。写真提供:内田暁

昨年の「Dunlop Road to the Australian Open」で優勝し、全豪OPジュニアの本戦出場権を獲得した黄川田は、グランドスラムの舞台に初めて立った。写真提供:内田暁

「こんなにたくさんの人が見ている中で、よくこんなに、最高のプレーができるなぁ」

 そんな感動と驚きに胸を満たしながら、彼女は1万人のファンで膨れ上がるロッドレーバー・アリーナの観客席で、憧れのイガ・シフィオンテク(ポーランド/世界ランク1位)に見入っていた。

 グランドスラム(四大大会)の会場に来るのは、今回が初めて。試合のために海を渡るのも、17歳の黄川田莉子にとって、人生二度目の経験だった。

 テニスに本格的に打ち込み始めたのは、10歳の頃とやや遅め。それもあり、全国大会に出たのは一昨年の全日本ジュニア選手権16歳以下が初。「昨年の18歳以下ベスト16が、全国の最高戦績です」と、はにかんで笑った。

 その彼女が、全豪オープンジュニア部門の出場権を手にしたのは、昨年末に開催された「Dunlop Road to the Australian Open」で優勝したから。しかも一度は予選敗退を喫するも、ラッキールーザーとして手にしたセカンドチャンスをものにして至った、夢舞台だ。
 
 メルボルン・パークに到着し、彼女が早々にしたことは、センターコートに組まれたシフィオンテク対ダニエル・コリンズ(アメリカ/同62位)を観戦すること。第3セットでゲームカウント1-4に追い込まれるも、諦める気配は微塵もない世界1位の緊張感に、引き込まれた。

「本当に、見ているこっちにまで集中が伝わってきた。絶対に取るという気持ちが現れていて、本当にすごいなと思いました。しかもそこで、ちゃんと取るのはさすが。やっぱりそういうプレーをすると、会場も盛り上がるんだなぁって」

 あの時の興奮に再び引き込まれたかのように、目を輝かせて語る。

「いつか自分も、こういう選手になりたいなって」

 誰に言うともない風情で、彼女はそう言った。

 日本国内のジュニア大会の経験すらまだ少ない17歳が、プレーヤーと観客のつながりに示す高い感度は、もしかしたら、彼女の生い立ちに起因するかもしれない。

 黄川田の父親、黄川田賢司さんは、コンサドーレ札幌等のJリーグチームで活躍した元サッカー選手。

 プロアスリートとしての理念や哲学は、自然と娘にも受け継がれているのかもしれない。
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号