終盤戦に入ったテニス四大大会「全豪オープン」で、チェコの19歳リンダ・ノスコワ（世界ランク50位）の快進撃がついにストップした。女子シングルス３回戦で現女王のイガ・シフィオンテク（ポーランド）を大逆転で倒すと、４回戦ではエリーナ・スビトリーナ（ウクライナ／同23位）と対戦。背中を負傷した元世界３位の途中棄権により、四大大会ベストリザルトが２回戦というノスコワが、初出場の全豪オープンでいきなり準々決勝進出を果たしていた。だが、ここで予選上がりのダヤナ・ヤストレムスカ（ウクライナ）に屈した。

　旋風を巻き起こしたティーンエイジャーは、いったいどんな選手なのか。

　身長179センチのノスコワはビッグサービスとパワフルなベースラインゲームを武器としており、４回戦後の会見では憧れの選手について語っている。母国チェコは、かつてマルチナ・ナブラチロワやハナ・マンドリコワ、ヤナ・ノボトナといった四大大会覇者を生み出し、21年全仏のバルボラ・クレイチコワ、23年ウインブルドンのマルケタ・ボンドルソワと近年もメジャー大会のチャンピオンが輩出したテニス大国。それでも彼女のアイドルはセレナ・ウィリアムズ（アメリカ）だという。

「テニスにのめり込んだ時には、セレナの大ファンだったの！ これからもそうだと思う。彼女のスタイルや身のこなし、人間性がとても好き。彼女は間違いなく私のチャートのトップにいるわ」

　2022年の全米オープンでは、ダブルスでウィリアムズ姉妹と対戦して勝利しており、キャリアで最高の瞬間だったと後に振り返っていたほどだ。
  　ノスコワが初めて世界的に注目されたのは、21年全仏オープンジュニア。16歳で女子シングルスを制した彼女は、このシーズンにITFツアーで４勝を挙げてステップアップしていった。

　次に大きくブレークしたのは昨年だ。開幕戦の「アデレード国際」で予選から勝ち上がり、ダリア・カサキナ（ロシア）、ビクトリア・アザレンカ（ベラルーシ）、トップ10のオンス・ジャバー（チュニジア）を破って初のツアー決勝進出。アリーナ・サバレンカ（ベラルーシ）には惜敗したが、102位だったランキングを58位に躍進させた。また、カサキナ戦もアザレンカ戦もマッチポイントをセーブしての勝利とあって、逞しいメンタルも話題となった。

　アデレードに続いて全豪も制覇したサバレンカはこう評していた。「彼女は私たちを恐れていないということがわかるわ。何があっても、彼女は自分のプレーをするだけ」

　ノスコワはその後、６月の「プラハ・オープン」でも決勝に進出。ツアー初優勝は日比野菜緒に阻まれたものの地元を大いに沸かせた。最終的には41位でシーズンを終え、WTAの「Most Improved Player」にノミネート。まさに飛躍の１年だった。

　そして今大会の３回戦、四大大会でティーンエイジャーが女王を破るのは15年ぶりのこと。そのシフィオンテク戦で印象付けたように、ノスコワは逆境でも冷静さを失わない強靭なメンタルを持っているようだ。一方で、技術的、戦術的には未完成。大きな可能性を秘める19歳にこれからも注目だ。

構成●スマッシュ編集部

【動画】ノスコワがシフィオンテクから大金星を挙げた「全豪オープン2024」３回戦のハイライト

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