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海外テニス

全豪OPジュニア単複でベスト4の17歳小池愛菜!大会参戦は「将来を見据えた経験のため」<SMASH>

内田暁

2024.01.26

2度目の全豪OPジュニアを第10シードで臨んだ小池愛菜は、シングルス準決勝では第1シードのヤムリホワにフルセットの末に惜しくも敗れた。(C)Getty Images

2度目の全豪OPジュニアを第10シードで臨んだ小池愛菜は、シングルス準決勝では第1シードのヤムリホワにフルセットの末に惜しくも敗れた。(C)Getty Images

 マーガレットコートアリーナでの試合を終えた時、「楽しかった」と彼女は笑った。

 試合中の降雨のため、急きょ屋根のあるアリーナに移された全豪オープンテニスの女子ジュニア単の準々決勝。雨宿りの目的もあったのかスタンドに足を運んだ観客の多くは、第10シードの小池愛菜と、第15シードのブラダ・ミンチェワの試合を楽しそうに観戦していた。

 数時間前に6番コートで行なわれていたこの試合の第1セットは、小池がゲームカウント1-5からの劣勢を挽回して勝利。そして再開後の第2セットは、小池が6-0で圧倒。最初のゲームを小池がブレークすると、相手はミスが増えていく。しなやかに、柔らかく、相手の球威を吸収しはじき返すような小池の懐の深いテニスが、アリーナを支配していた。

 良い流れの末に中断となり、次にいつ試合が始まるかわからない……そんな難しい状況にありながらも、小池は「待ってる間は、結構リラックスできていました」と笑みを浮かべた。プレー同様の柔らかな佇まいは、もしかしたら、このグランドスラムジュニアをも、一つの通過点であり、課題に取り組む実戦の場と捕らえているかもしれない。

 全豪オープン会場のハードコートは、速いことで知られている。特に同じハードでも、小池が拠点とする北米のそれとは、球速や跳ね方などが大きく異なるそうだ。
 
 初参戦だった昨年の全豪ジュニアでは、その違いに戸惑い、相手の強打に差し込まれて敗れた。現在の小池はプロの試合にも出場し、WTAランキングも575位につける。昨年11月に高崎市で開催されたITF10万ドル大会では、日本トップの日比野菜緒を破る快進撃も見せた。それでもジュニア大会にも出場するのは、「将来を見据えた“経験”のため」だという。

「今回も1~2回戦は自分のミスが多くて。やっぱり足の出し方とかがあんまり合わないことも多かったんです。でも3回戦や4回戦の試合では、その課題を頭に入れて、良いプレーができました」

 残念ながら準決勝で敗退となったが、それでも単複ともにベスト4に進出できたのは、それら課題とやるべきことを、明確化できていたからだろう。

 今後も、グランドスラムジュニアには出場する予定だが、それもあくまで、芝など異なるサーフェスでの経験を積むため。

「ジュニアよりも、大人の選手が打つ質の高いボールの方が、自分的にはやりやすい」

 そう言いふわりと笑う小池は、2月上旬にはワイルドカード(主催者推薦)を得て、WTA500のアブダビ大会予選に挑む予定。未完の大器は、より強い相手と戦うほどに、しなやかな器のキャパシティを広げていく。

現地取材・文●内田暁

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