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【テニスルール虎の巻】相手のドロップショットが「強風でネットの向こうに押し戻された時」の正しい処理方法<SMASH>

スマッシュ編集部

2024.01.28

相手の放ったボールが強風によって相手陣内に押し戻された場合はどうすればいいのか…。(C)Getty Images

 多くのアマチュアは自分自身でゲームの判定を下す「セルフジャッジ」でテニスの試合をしています。「自分で判定するなら簡単」と思うかもしれませんが、それは大間違い。いい加減な判定によってトラブルを起こすことが多々あるからです。

 そうしたトラブルなしで試合を楽しむには、とにかくルールに詳しくなることが大切です。そこで四大大会の出場経験を持つ元プロ選手で現在公認審判員も務める岡川恵美子氏にケース別でルールについて解説してもらいました。

 今回のケースは「打球が強風で戻されたケース」についてです。相手の放ったドロップショットが強風でネットを越えて相手側に戻された時、ネットの向こうにあるボールを打ってもいいのでしょうか。

   ◆    ◆    ◆

 この場合「有効返球」にするためには、ネットの上から腕を伸ばしてでもラケットでそのボールに触れなければなりません。ボールに触れない場合は、返球できたことにはならず失点となります。ゆえに質問のケースでは、ボールを打っても大丈夫です。

 ただし、ネットの向こうのボールを打つ時には注意が必要です。なぜなら、プレーヤーの身体・ラケット・着衣・持ち物が、ダブルスではネットポストとその内側のネット、シングルスではシングルススティックとその内側のネット、そして相手コートに触れてしまうと、その時点で失点となるからです。

 そのため相手コートに戻されたボールは腕を伸ばし、余分なものに触れないように打たなければなりません。
 
 ちなみに、相手コートに戻されたボールをどこに向けて打つかは自由です。

 相手ベースラインの方に打つこともできるし、真上から下へ叩きつけることもできます。また、余裕があればネット方向に戻すというやり方もあります。自分の方(ネット)に向かって打てれば、相手は非常に取りにくくなります。なぜなら、その次のバウンドが相手にとっての1バウンド目となるからです。

解説●岡川恵美子
17歳で全日本選手権を制覇して日本初の高校生プロとなる。グランドスラム(四大大会)では、全豪オープン3回戦進出をはじめ、全仏オープンやウインブルドンの本戦に出場。現在はベテラン大会に挑戦しながら、ITF国際審判員、JTA公認審判員も務める。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2023年8月号より抜粋・再編集

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