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全豪OP優勝のシナーはじめ成長著しいイタリア男子勢!伊メディアが挙げる隆盛の理由とは?<SMASH>

内田暁

2024.02.07

全豪OP決勝で大逆転勝利を収めたシナーは、イタリア人として初の全豪男子シングルスのタイトルを獲得した。(C)Getty Images

 2024年1月28日――。オーストラリアのロッドレーバーアリーナには、観客席の至る所で、赤白緑の三色旗が誇らしげに揺れていた。

 アリーナの外に設置された複数の巨大スクリーンの前では、顔を三色に塗り分けた若者たちが、歓喜の叫び声を上げて、仲間たちと抱き合う。

 メルボルン市内のパブリックビューイングでも、多くの人々が観戦し、その試合展開に一喜一憂した。

 人参の着ぐるみに身を包み、ヤニック・シナーを熱狂的に応援する"キャロットボーイズ"は、今やシナーが「僕よりも有名人」と笑うほどに、試合会場の名物となる。

 イタリア北部の小さな町から現れた赤髪の青年が、テニスの全豪オープン決勝で、2セットダウンからの劇的逆転勝利で手にしたトロフィー。それは、全豪オープン男子単で初めてイタリア人が頂点に立った瞬間であり、グランドスラム全体で見ても、史上2人目、通算3度目の戴冠だった。
 
 イタリア男子が最後にグランドスラムで優勝したのは、1960年のことである。それから半世紀以上の年月が流れたが、今回のシナーの優勝は、決して偶発的な出来事ではないようだ。

 イタリア男子勢の台頭は、ここ数年間、テニス界のトピックスの一つだった。先鞭をつけたのは、現在27歳のマテオ・ベレッティーニだろう。19年の全米オープンで、長身のビッグサーバーはイタリア男子勢として42年ぶりに同大会のベスト4へと進出した。この時、準決勝のラファエル・ナダル戦を控えてベレッティーニが語った「ラファへの憧れ」の理由が、今思えば象徴的である。それは彼がまだ、9歳だった日の思い出。

「お気に入りのアニメを見るためにテレビをつけたら、テニスの試合中継をやっていた。ローマ・マスターズの、ラファと(ギレルモ・)コリアの決勝戦だった。とんでもない試合で、夢中になって見ていた。次の日に学校に行ったら、みんなもその試合を見ていたようで話題になっていた。『あの試合すごかったね! 君もあのスポーツをやっているんでしょ?』って聞かれて、誇らしかった」

 このベレッティーニの回想に象徴されるように、テレビ中継が子どもたちに与えるインパクトは大きい。イタリアテニス界は、この点に着目したという。イタリアのテニスメディア関係者たちに「現在のイタリアテニス隆盛の理由は?」と尋ねた時、誰もが挙げるのが、テニス専門チャンネル"スーパーテニス"の功績だ。
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イタリアテニス界を発展させた“スーパーテニス”の特異性