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大坂なおみ、1年10カ月ぶりにベスト8進出!知将フィセッテ氏と歩む復活ロードに「今、すっごく楽しいの」と手応え<SMASH>

内田暁

2024.02.15

出産を経て今季からツアーに復帰した大坂なおみが試合を重ねるごとに調子と自信を取り戻している。(C)Getty Images

 1回戦は、わずか1カ月前の全豪オープン(オーストラリア・メルボルン)で敗れた相手に、課題点を修正し快勝とも言える勝利を手にした。

 2回戦では、相手のセットポイントを凌ぎ、結果的にはストレートで勝つ勝負強さを発揮した。

 元女子テニス世界1位、グランドスラム(四大大会)4度の優勝経験を持つ大坂なおみが、「カタール・オープン」(2月11日~17日/カタール・ドーハ/WTA1000)で復帰後初の2連勝。

 3回戦では、対戦予定だったレシア・ツレンコ(ウクライナ/世界37位)が肩のケガを理由に棄権したため、戦わずして準々決勝へと歩みを進める。これが復帰後最高成績なのはもちろん、ツアーでベスト8以上に勝ち進むのは、2022年のマイアミ・オープン以来のことだ。

「この勝利は大きい。こういう試合が、今の彼女には何より必要だったから」

 2回戦の勝利直後、そう言い安堵の笑みをこぼしたのは、コーチのウィム・フィセッテ氏である。19 年末にコーチに就任するなり、フィセッテ氏と大坂は、1年2カ月の間に2度のグランドスラムタイトルを勝ち取ってきた。大坂の妊娠・出産に伴い一度は袂を分かったが、復帰を決意した大坂が声を掛けたのは、やはり"プロフェッサー(教授)"のニックネームを持つこの知将だ。
 
 今大会の初戦でカロリーヌ・ガルシア(フランス/同21位)に勝利した時、大坂は勝因として「リターン」を真っ先に挙げた。リターンは大坂がオフシーズンに、変革に取り組んできたプレー。両足で細かくジャンプしながら構え、素早く相手サービスに反応するそのリターンは、本人曰く「ジョコビッチがお手本」。「オフシーズンにウィムとも話し合いを重ねて、変えてきた」と言った。

 その件をフィセッテ氏に尋ねると、「リターンはずっと、課題でしたから」とコーチは即答する。

「今回、なおみと復帰に向けて練習を再開した時、知り合いのバイオメカニクス(生体力学)の専門家にも相談し、なおみのリターンの動きを分析してもらいました。スプリットステップをしっかり踏むことで、反応を早くすることが狙いです」

 そのように技術面にメスを入れると同時に、フィセッテ氏は大坂と多く言葉を交わしながら、復帰へのロードマップを緻密に描いているようだ。

「産後7カ月で、ここまでできているのはすごく早い。過去の出産経験者を見ても、みんな復帰まで1年はかかっている」

 完璧主義者の大坂にはそう声をかけ、モチベーションと逸る心のバランスを取る。同時に、現在のトップ選手の試合を見ながら、参考にすべき点について話すこともあるようだ。
 
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「ある部分では、今の方が以前よりも良い」