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【テニスギア講座】グリップサイズについて考える。数字表記の意味や、選び方のコツを紹介!<SMASH>

松尾高司

2024.03.30

店頭で販売されるテニスラケットには、グリップ部にグリップサイズを記したシールが貼られている。大抵は「整数表示」と「インチ分数表示」を併記している。写真:松尾高司

 今回のテーマはラケットの「グリップサイズ」です。ほぼ全てのメーカーが、グリップサイズ表記は細い順に「0」「1」「2」「3」「4」となっていますが、この数字は「0番」「1番」「2番」というような、ただの順番ではありません。

 これは、グリップ1周分の長さをインチで表した場合の、数字の一部です。「4インチ+X/8」がインチ表示した外周であり、その「X」に入る数字がサイズ表記になります。

「0」=4+0/8
「1」=4+1/8
「2」=4+2/8(1/4)
「3」=4+3/8
「4」=4+4/8(1/2)

 小数表記に直すと、「0」は「4.0インチ」、「2」は「4.25インチ」です。

 店頭で販売されているほとんどのラケットには、グリップ部に「4 X/8」というシールが貼られています(Xは0~4の数字)。その表記を単純にしてわかりやすくするために、整数4を取り去り、分数部の分母を8に統一して、分子の数字だけを残したのが、いわゆるグリップサイズで、シールにはこの両方のサイズ表記が印字されています。

 ところでこのグリップサイズ、昔に比べて現在は随分と細くなっています。40年ほど前まで、テニスラケットは木製で、面は小さく、重量は重く、グリップはとても太いものでした。小さい面で飛ばすには重さが必要であり、ちょっとでも芯を外せば面をグリッと回されてしまうため、握力を伝えやすい「太さ」が必要だったのです。女性は3、男性は4が普通で、5というのもありました。
 
 でも今日ではカーボンの進化による「反発性向上」と「軽量化」のおかげで、グリップサイズはかなり細くなりました。楽にボールを打ち返すことが可能になり、そんなに太いグリップでなくても回されることはありません。

 またフレームが軽量化・強靭化されたことで、ラリーが高速になり、その打球を相手コート内に収めるためにトップスピンが一般化します。トップスピンは「手首を固めて前へ押し出す」昔の基本ではなく、「手首を利かせてヘッドを回す」方が打ちやすいもの。グリップが細い方が手首を動かすための自由度が高いため、全体的にグリップは細くなるわけです。

 さらに、その傾向に拍車をかけたのが、グリップテープが習慣化したことです。テープを巻くとグリップが太くなることを想定して、1サイズ細めのものを買う風潮が生まれました。

 今日では、グリップ4まで揃えているモデルはかなり少なく、ほとんどが3か2で、昔は考えられなかった、男性が2を使うケースもよく見かけます。

 最後に、グリップサイズを決める時のコツですが、「実際に握って確認」をお勧めします。よく「同じサイズでもA社は太めでB社は細め」などと言われることがありますが、ブランドの差どころか、厳密に言えば同じブランド内でも機種によってわずかな違いはあるのです。

 同ブランドならば全て同じはずと思い込まずに、ショップで実際に握って確かめることが、最高に満足できる買い方の秘訣です。

文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2022年9月号より抜粋・再編集

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