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32歳でトップ10に返り咲き! ディミトロフが語る復活の理由「多くの世代と対戦し自分のテニスがわかってきた」<SMASH>

内田暁

2024.04.01

フェデラーの後継者と目されながら、ビッグ4の壁を越えられなかったディミトロフだが、多くの対戦から得た経験が現在の再浮上に結びつき、トップ10返り咲きを果たした。(C)Getty Images

 32歳という年齢は、ここ最近のテニス界の趨勢を思えば、取り立てて騒ぐほどではない。それでも、グリゴール・ディミトロフのマイアミ・オープン決勝進出が人々のノスタルジーを喚起したのは、彼が生きた"時代"によるところが大きいだろう。

 ジュニア時代からディミトロフは、片手バックハンドに象徴される流麗なプレースタイルから、ロジャー・フェデラーとの比較を余儀なくされてきた。"ベビー・フェド"のニックネームに、微かな拒絶感を示したこともある。17歳の頃から彼は、周囲が寄せる"次代のチャンピオン候補"の期待と共に歩んできた。

 ディミトロフが初めてグランドスラムのベスト8に勝ち上がったのは、2014年の全豪オープン。この時は、ラファエル・ナダルに健闘するも敗れる。同年のウインブルドンでは、準決勝でノバク・ジョコビッチに競り負けた。17年は全豪オープン準決勝で再びナダルに、そしてウインブルドンでは4回戦でフェデラーに敗れる。

 ちなみに、ディミトロフがキャリア最高位の世界ランク3位に到達したのもこの年。彼自身の全盛期は、先達たちが猛威を振るった時代と重なった。
 
 トップ10の地位から落ちたのは、最高位から1年後の2018年11月のこと。ツアー優勝からも、17年11月を最後に6年以上遠ざかった。

 その彼が久々にタイトルを抱いたのが、今年1月のブリスベン国際。決勝で破ったのは、20歳の世界8位、ホルガー・ルネだった。

 そして今回のマイアミ・オープン準々決勝では、やはり20歳の世界2位、カルロス・アルカラスを6-2、6-4のスコアで圧倒したのだ。

 この試合を見た英国人のジャーナリストが、「まるで、幻となったフェデラー対アルカラス戦を見ているようだ」とつぶやく。確かにこの日のディミトロフは、ベースラインから下がらず、相手の時間を奪い、常にプレッシャーをかけ続けた。

「自分のプレーは悪くなかった。彼が、完璧なプレーをした」

 試合後に完敗を認めたアルカラスは、「13歳のような気持にさせられた」と苦く笑う。
 
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ディミトロフが感じたフェデラーとシナーに共通した感覚