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海外テニス

32歳でトップ10に返り咲き! ディミトロフが語る復活の理由「多くの世代と対戦し自分のテニスがわかってきた」<SMASH>

内田暁

2024.04.01

マスターズ1000のマイアミOPで準優勝と健闘したディミトロフ(右)。シナー(左)に喫した完敗は、かつてのフェデラー戦の記憶を呼び起こすものだったという。(C)Getty Images

マスターズ1000のマイアミOPで準優勝と健闘したディミトロフ(右)。シナー(左)に喫した完敗は、かつてのフェデラー戦の記憶を呼び起こすものだったという。(C)Getty Images

 そのアルカラスの言葉を記者から伝え聞いたディミトロフは、「最高のコメントだね!」とうれしそうに笑った。

 奇しくも……と言うべきだろうか。決勝戦でヤニック・シナーに3-6、1-6で敗れた後、「過去に対戦してきたトップ選手たちと比べて、シナーはどうか」と問われたディミトロフは、口の端に柔らかなシワを刻んで言った。

「笑ってしまったのは、ロジャーとウインブルドンで対戦した時のことを思い出したからなんだ。穴を掘って、そのまま隠れて消えてしまいたいと思った。あのような感覚を、他の選手から味わったことは、未だない」

 今回、アルカラスがディミトロフとの対戦で覚えた無力感は、ディミトロフがかつてフェデラーと対峙し覚えた感覚に似ていたのかもしれない。
 
 また、別の日の会見でディミトロフは、“ビッグ4”との対戦経験を、次のようにも述懐している。

「キャリアを通じ、準々決勝や3回戦、4回戦で何度も彼らと対戦してきた。その経験が、僕を精神的に強くしたと思うし、それらの対戦から多くを学んできた。彼らはそれぞれが個性的で、いずれも高質だ。彼らこそが今のテニス界を築いたパイオニアだと思う」

 そんな先駆者たちがコートから姿を消していくことを、彼は「寂しい」とも言った。
 
 約15年のプロキャリアを経た今、彼は「多くの世代との対戦を通じ、ゆっくり、でも確実に自分のテニスがわかってきた」と、無精ひげに覆われた口元に少年のような笑みを広げる。

 マイアミ・オープン決勝の翌日、ディミトロフは283週ぶりに、トップ10へと返り咲いた。

現地取材・文●内田暁

【動画】シナー対ディミトロフの「マイアミ・オープン」決勝ハイライト

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