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【テニスルール虎の巻】コート上に放置されたボールを踏みそうになってミスをした、こんな時はポイントをやり直せるのか<SMASH>

スマッシュ編集部

2024.04.05

コート上に放置されたボールの扱いは石ころと同じ扱いだが、ボールが最初にあった場所から移動してきた場合は解釈が変わる。(C)Getty Images

 多くのアマチュアは自分自身でゲームの判定を下す「セルフジャッジ」でテニスの試合をしています。「自分で判定するなら簡単」と思うかもしれませんが、それは大間違い。いい加減な判定によってトラブルを起こすことが多々あるからです。

 そうしたトラブルなしで試合を楽しむには、とにかくルールに詳しくなることが大切です。そこでテニス四大大会の出場経験を持つ元プロ選手で現在公認審判員も務める岡川恵美子氏にケース別でルールについて解説してもらいました。

 今回は「コート上に放置されたボールによるトラブル」です。サービスフォールトしたボールをそのままにしてゲームをしていたら、踏みそうになってバランスを崩しミスをしました。こんな時は「レット」をコールしてポイントのやり直すことはできるのでしょうか…。

   ◆    ◆    ◆

 ファーストサービスでフォールトとなってコート内に転がっているボールは、セカンドサービスからのポイントが始まればコート上の石ころと同等に扱われます。ですから、その石(ボール)を踏みそうになってバランスを崩したとしてもルール的に問題にはならず、ポイントのやり直しは認められません。

 また、コート上のボールをプレー中に「邪魔だ!」とばかりに蹴飛ばしたり、ラケットでどかしたりした際、相手がその行為を見て「何しているのかな?」と気を取られたら、「プレーの妨害」が成立します。プレーと関係ない動きをして相手のプレーを妨害したことになるのです。

 したがって今回のケースでは、「レット」をコールできるのは、むしろ対戦相手の方なのです。
 
 ファーストサービスでフォールトしたボールは、ポケットに入れるか安全な場所に静止するまでセカンドサービスを打つのを待ってもらいましょう。

 なお、フォールトしたボールをネットに付けていたのに強風によって戻されてコート中央に転がってきたような場合は、少し解釈が変わります。このようなボールは最初からそこにあったものではないので、どうしても危険な場合は、両者(両チーム)がプレーの妨害を理由にレットをコールしてもいいでしょう。そして次からはか風が吹いても動かないところにボールを置くようにすることです。

 また、後方にあったボールが風などでコートに戻されてきた場合、コート内にいるプレーヤーにはボールが見えないので非常に危険です。そうした場面では事故を防ぐためにも相手側が「レット」をかけるべきかと思います。

解説●岡川恵美子
17歳で全日本選手権を制覇して日本初の高校生プロとなる。グランドスラム(四大大会)では、全豪オープン3回戦進出をはじめ、全仏オープンやウインブルドンの本戦に出場。現在はベテラン大会に挑戦しながら、ITF公認審判員、JTA公認審判員も務める。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2023年9月号より抜粋・再編集

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