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国内テニス

【伊達公子】時代に合わせて変えたラケット。譲れないこだわりはグリップ<SMASH>

伊達公子

2024.04.05

ラケットを選ぶ時は「手のフィーリングと実際のボールとの誤差が少ないことも大切」と言う伊達公子さん。写真:THE DIGEST写真部

ラケットを選ぶ時は「手のフィーリングと実際のボールとの誤差が少ないことも大切」と言う伊達公子さん。写真:THE DIGEST写真部

 テニスをする時に絶対に必要な物がラケットです。ラケットは時代と共に進化してきました。私がテニスを始めた時はウッドで、中学生の時にデカラケが登場しました。プリンスの『プリンスプロ』です。小さかったフェイスが大きくなり衝撃でした。

 高校に入ってから先生に勧められて使っていたのが、ヨネックスの『R-22』。続けて『R-24』、『R-50』と使用し、少し硬めの『R-50』が一番好きでした。その後に、厚ラケが登場してきました。私はカチーンというぐらいの硬いラケットを好んでいましたが、世界に舞台を移してからは、それでは対抗できないと感じ、少し柔らかい物にするようになりました。対戦する相手が変わることで、ラケットに求めるものも変化してきたわけです。

 セカンドキャリアの時は、ラケットの飛びがよくなっていましたね。最初に使った『R
QiS2 Tour』が大好きでした。これは海外の選手もみんな気に入っていました。手でコントロールできる感じが良かったことを覚えています。

 ラケットを選ぶ時の基準はフィーリングで、回転のかかりやすさやボールの収まり具合も確認します。自分の手のフィーリングと実際のボールとの誤差が少ないことも大切です。ギャップが大きいほどコントロールが難しくなります。

 私は手が大きい方なので、グリップは太めです。ファーストキャリアの最初の頃に、細めのグリップを使い手首を痛めそうになったことがあったので、太めに変えました。現在もグリップエンドに向けて太くなっていく形状です。
 
 グリップにはこだわっていました。私は人差し指のひっかかりを重視しており、人差し指の部分にだけ極端にくぼみができるように作ってもらっていました。その感覚、位置もしっかり理解してもらわないとダメなので、ラケットの元グリップは常に同じ人に巻いてもらっていたほどです。

 オーバーグリップテープは必ず自分で試合前に巻きました。元グリップのくぼみに合わせて同じように巻くことで、より引っ掛かるようにしていました。その日の調子に合わせてグリップテープの引っ張り具合も変えるため、自分の感覚が重要で人任せにはできない作業です。

 オーバーグリップテープは、ヨネックスの白。それ以外を使った記憶はありません。他の色ではなく、白がいいんですよね。グリップテープの好みは分かれると思います。私はウェットが好きでドライ系はダメです。

 引退後はラケットのこだわりはかなりなくなりました。そして、重さもグリップの太さも、当然ながら現役のままではつらくなってきます。今は、現状に合ったカスタマイズを模索しているところです。

 テニスを長年しているとマンネリ化することもあるので、ラケットを変えるというのは気分転換の1つになります。また、新しいラケットを使うと、テニスも変わり今の時代に合ったプレーができるようになります。私もお気に入りのラケットはありましたが、時代に合わせて変えました。今のラケットの方が良い理由があるものなので、1度新しいラケットを試してみるのも面白いと思います。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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