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クロスへのカウンターは面を外から入れてボールに厚くぶつける! 川橋勇太が極意を伝授【プロが明かすテニス上達法】<SMASH>

スマッシュ編集部

2024.04.27

川橋選手がクロスへのカウンターで特に意識しているのは、テイクバックをコンパクトにすることと(写真2コマ目)、面を外側から入れてボールに厚くぶつけることだ(5コマ目)。写真:滝川敏之

 プロテニス選手は、高度なショットをいとも簡単に叩き込む。なぜあんなボールが打てるのか? その秘訣をプロ本人に明かしてもらうシリーズ。今回は筑波大学出身のプロ、川橋勇太選手の4回目。走りながらクロスに叩き返すフォアハンドのカウンターについて教えてくれた。

  *  *  *

 僕のスタイルは"カウンターテニス"です。カウンターを取るのに何が一番有効かと言うと、フォアのランニングショットだと思います。試合では相手がフォアでクロスに打ってきて、自分がバックサイドから走っていって返球する機会がよくあります。そこで多いのはストレートへの返球ですが、クロスに切り返すと非常に有効なんです。

 いわば相手がいる方向に返すわけで、相手はストレートを警戒して戻ろうとするため、逆を突けます。僕は相手のクロスよりもさらに角度をつけるように心掛けていますね。ストレートを狙うよりミスの心配も少なく、これは得意にしている攻撃です。

 実はこのショットはここ1年くらい(※取材は2022年)で集中的に練習し、身に付けました。幾つか技術的なポイントを挙げると、まずテイクバックは後ろに引くのではなく、ベースラインと平行くらいの気持ちで引いています(写真2コマ目)。つまり真横にラケットをセットするようなイメージです。

 ランニングショットはボールが横に動いているので、後ろに引くとリーチが足りなくなります。なるべく腕を伸ばしやすいように、最初から横に準備するわけです。
 
 そしてインパクトでは、ボールの外側から面を入れるつもりでヒットします(5コマ目)。逃げていくボールに対して、面が内側に入るとクロスには行かないので、外を捉えるのがコツです。

 その際、ボールをこすり上げようという意識は必要なく、僕はなるべくフラットな当たりを心掛けています。外を打とうと思えばラケットヘッドが走るので、自然にある程度のスピンがかかります。意図的にかけようとするとボールが飛ばなくなり、カウンターとして威力不足になりがち。クロスは距離も長いので、引っかけるのではなく、面をぶつけるイメージで厚く打つことが大切です。

 あとは身体のターンを使うことですね。インパクトではなるべく打ちたい方向に身体を向けるようにしています。

【プロフィール】川橋勇太/かわはしゆうた
1998年1月26日、東京都生まれ。178cm、66kg、右利き。筑波大学時代に関東学生連覇、全日本室内選手権準優勝などの戦績を残しプロ転向。早いタイミングのカウンターテニスを得意にする。JTAランキング最高17位。2023年にはITFツアーで2勝目を挙げている。レック興発所属。

構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2022年10月号より再編集

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