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【テニスルール虎の巻】草大会の「メディカルトリートメント」、コート外の友人から薬をもらったり、手当を受けることは可能か<SMASH>

スマッシュ編集部

2024.04.29

医薬品の処方などは基本的に医師免許を持ったドクター以外はできないが、ドクター不在の草大会などはそうすればいいのか…。(C)Getty Images

 多くのアマチュアは自分自身でゲームの判定を下す「セルフジャッジ」でテニスの試合をしています。「自分で判定するなら簡単」と思うかもしれませんが、それは大間違い。いい加減な判定によってトラブルを起こすことが多々あるからです。

 そうしたトラブルなしで試合を楽しむには、とにかくルールに詳しくなることが大切です。そこでテニス四大大会の出場経験を持つ元プロ選手で現在公認審判員も務める岡川恵美子氏にケース別でルールについて解説してもらいました。

 今回は「メディカルトリートメント」(医学的処置)についてです。ドクター不在の草大会でメディカルトリートメントを受けたい場合は、コート外にいる友人から薬をもらったり、マッサージなどの手当を受けることはできるのでしょうか…。

   ◆    ◆    ◆

 メディカルトリートメントとは、メディカルタイムアウトとは別に1試合中2回までエンド交代時(90秒)やセットブレークの時間内(120秒)にトレーナーから手当を受けたり、ドクターから医薬品を受け取ることができるルールです。

 大きな大会ではトレーナーとドクターがいて、トレーナーはマッサージやストレッチ、テーピングなどを行ないます。ただ医薬品の処方は医師免許を持ったドクター以外にはできません。海外では薬を処方する資格を持ったトレーナーもいて、テレビの試合中継などではトレーナーが痛み止めを選手に渡すシーンも見られます。
 
 ゆえに出場した大会にドクターがいないからといって、コート外の友人はアンチドーピングの考え方からも、試合中の選手に医薬品を渡すべきではないと思います。

 ただ草大会などでは、コート外の人からロービングアンパイアに「これをあの選手に渡してください」と飲み物や食べ物を託されたり、「この薬(市販薬)もお願いします」と託されるケースもあります。そうした場合は個人の判断に任せることになるでしょう。

 なお、足がつってしまった時、仰向けに寝て他の人に足の筋を伸ばしてもらうシーンを見かけますが、この行為をコート外の人がすることはできません。できるのはダブルスのパートナーだけです。筋肉のケイレンなどは体力の消耗のためであり、動けない状態でもまだ試合中。選手はプレーを続行しなくてはならないからです。

解説●岡川恵美子
17歳で全日本選手権を制覇して日本初の高校生プロとなる。グランドスラム(四大大会)では、全豪オープン3回戦進出をはじめ、全仏オープンやウインブルドンの本戦に出場。現在はベテラン大会に挑戦しながら、ITF公認審判員、JTA公認審判員も務める。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2024年4月号より抜粋・再編集

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