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海外テニス

加藤未唯、ベスト4を目指して今夜難敵と対決!「反射神経では私の方が上だと思う」【全仏オープン・女子ダブルス】<SMASH>

内田暁

2024.06.05

加藤未唯らの次なる相手は実績十分のガウフ/シニアコワ組となったが果たしてどんな戦いが展開されるのか(写真は2023年東レPPO/左がキチェノク)。写真:THE DIGEST写真部

加藤未唯らの次なる相手は実績十分のガウフ/シニアコワ組となったが果たしてどんな戦いが展開されるのか(写真は2023年東レPPO/左がキチェノク)。写真:THE DIGEST写真部

 2週間にわたりフランス・パリで開催されるテニス四大大会の全仏オープンも、折り返し地点を過ぎた大会10日目。女子ダブルス4回戦で、加藤未唯/ナディア・キチェノク(ウクライナ)組が、第2シードのニコル・メリチャー/エレン・ペレス(アメリカ/オーストラリア)組に6-3、6-2で快勝。ベスト8へと歩みを進めている。

「今日は、あんまり悪いところがなかったかな」と、淡々と紡ぐ言葉に自信が滲む。昨年は混合ダブルスで頂点に立った相性の良い地で、小柄な加藤の身体が大きく舞った。

 昨年の東レ・パンパシフィック・オープンでも組んだキチェノクとのコンビネーションは、試合を重ねるごとに向上。初めて組んだ頃は「彼女がどこに打つかわからなかった」と多少の困惑をのぞかせたが、今では言葉を交わしながら、意志やプランを重ねて合わせている。

 それらパートナーとの連携以上に、今の加藤が手応えを覚えるのは、自分のプレーそのものだろう。特に一番調子の良さを感じているのが、「リターン」。その好調に寄与したのは、混合ダブルスの経験だ。

 1回戦では、203センチの男子選手アルバーノ・オリベッティ(フランス)が打ち下ろす時速220キロのサービスにも、真っ向立ち向かっていった。その反復に感覚が研ぎ澄まされ、目も高速ボールに慣れたのだろう。今や誰のサービスでも、「ボールが良く見えているので、しっかりラケットの面で捕えられている」と言った。

 その加藤/キチェノク組が、準々決勝で対戦するのは、ココ・ガウフ(アメリカ)とカテリナ・シニアコワ(チェコ)の2人。ガウフは今大会、シングルスでもベスト4に進出中。シングルスの最高位は3位で、ダブルスでは既に1位に上り詰めているオールラウンダーだ。
 
 そのガウフの新相棒のシニアコワは、既にグランドスラムで7度の優勝を誇るダブルスの第一人者。クレーコートにも、ジュニア時代から慣れ親しんできた。

 ガウフとシニアコワは、加藤にとっても、それぞれ思い入れのある選手だ。ガウフとは昨年、全豪オープンとドバイで立て続けに対戦し、いずれも競りながらも敗れる。その時に感じたのが、ガウフの読みの良さと、高く跳ねるサービスの威力だった。

「このままでは、何度対戦しても勝てない」

 そう感じた彼女は、予定していた遠征を急きょ切りあげて帰国。兵庫県の拠点で、ガウフ対策を磨いた。

 その成果は、直後のBNPパリバ・オープン(アメリカ・インディアンウェルズ)で実る。ガウフのサービスを幾度も破り、完全アウェーの高揚感の中で大きな勝利をもぎ取った。

 一方でシニアコワは、加藤が最も「すごい」と感じている選手の1人。

「絶対に、カバーしている方とは反対に打ってくる」という怖さは、ネットを挟み対峙した者しか感得しえない皮膚感覚だろう。シニアコワと戦う緊張感を、加藤は「背中に刺される感じ」と言い表した。

 ではシニアコワのその感性に、いかに対抗していくのか?

「反射神経では私の方が上だと思うので、そこで勝負したいなと思います。早いボレーのテンポでやれば、ちょっと隙が見えるんじゃないかな……」

 来たる対戦(現地5日の第2試合/日本時間5日18時以降)を控え、加藤はそう策を口にした。

 シニアコワのテリトリーを、天性の嗅覚と身体能力で打ち破った時、目指す「優勝」にも大きく近づく。

現地取材・文●内田暁

【画像】加藤/キチェノクが参戦した2023年「東レPPO」フォトギャラリー

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