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西郷里奈が2時間50分の激闘の末にITFツアーで逆転優勝!「諦めずチャンスをつかもうと戦った」【W15東京 大東建託オープン/女子テニス】<SMASH>

スマッシュ編集部

2024.06.16

今季は苦戦が続いていたという西郷里奈が2022年のトルコ大会以来となるタイトルを手にした。写真:小松崎弘(スマッシュ編集部)

 女子テニスのITF(国際テニス連盟)ワールドツアー「W15東京 大東建託オープン supported by JWT50」(東京・有明)では16日、女子シングルス決勝を実施。西郷里奈が2時間50分に及ぶロングマッチの末、秋田史帆に4-6、7-6(6)、7-5の逆転勝利でタイトルを手にした。

 ITFツアーは国際テニス大会のカテゴリーの中で、WTAツアーの下部大会に当たり、特に賞金総額15,000ドル大会(W15)は最も低いグレードとあって、世界を目指すプレーヤーたちの登竜門である。

 今大会を主催する『JWT50』は、日本女子テニス界のレジェンドである伊達公子氏をはじめ、世界50位以内をマークした杉山愛氏、神尾米氏ら有志によって2022年に創設された一般社団法人。若手の育成を目的に昨年から日本各地でこのITFツアーを開催し、今年も「大東建託オープン」として6つのW15(賞金総額15,000ドル)大会を主催。W15東京は、富山と福井に続く第3戦となる。

 決勝に進出した西郷と秋田はこれが初対戦。経験値で勝る34歳のベテラン秋田に対して、23歳の西郷は「どうなるかわかりませんが、今の自分にできることをやるだけです」とコートに立ち、真っ向勝負を挑んだ。

 第1セットは互いにサービスブレークを繰り返す拮抗した展開となるが「そうした中でミスが出てしまった」西郷が競り合いながらも4-6で落とす。

 第2セットはお互いがサービスをキープしながら進むが、西郷は2-3で迎えた第6ゲームでブレークを許し、続くゲームを秋田にキープされて2-5と崖っぷちに追い込まれる。だが「どんな状況でも諦めずにやってチャンスをつかむしかない」と自身に言い聞かせてボールに食らいつき、実に2-5から4ゲームを連取して逆転に成功。第12ゲームは秋田にキープを許してタイブレークに突入するが、これを8-6で競り勝ち第2セットをものにする。
 
 だが喜びも束の間。西郷はファイナルセットの第1ゲームでサービスダウンを喫すると、そこから今度は秋田に3ゲームを連取されて0-4と形勢逆転。「ちょっと勝利が遠ざかった感じがした」という西郷だが、それでも第2セット同様ここから持ち味である粘り強さを発揮する。

「どうせ負けるのならば、やれるところまでやろう」とギアを上げ、「ラリー戦では絶対に負けない」とボールを拾いまくり、競り合う場面では次々と際どいコースにショットをねじ込んで4ゲームを奪い返して4-4と追いつく。

 第9ゲームでは再びブレークを許すも、秋田のサービングフォーザマッチで迎えた第10ゲームでブレークバックに成功すると、西郷はそこからさらに2ゲームを連取して7-5。2時間50分に及んだ逆転劇を見事演じ切った。

 タイトルを手にするのは、2022年5月のトルコで開催されたITFの15,000ドル大会以来である。

 約2年ぶりとなる勝利を手にした西郷は表彰式で「今シーズンは本当に勝てなくて結果を出すのに苦しんでいました。試合に出るたびに、自信をなくすようなことも結構ありました。だからこの大会に出ることに不安もありましたが、こういう時期だからこそ、この大会に出て、ここで優勝をつかみ取ることができて、私にとってすごく価値のある優勝になりました」と喜びを口にした。

 翌週からは台湾で開催されるITFの「W35」に臨むという西郷は「いい手応えを得て台湾に行くことができます」と笑顔を見せた。

 なお、大東建託シリーズの4戦目は北海道が舞台となる「W15札幌 大東建託オープン」(本戦7月23日~28日/平岸庭球場)。果たして北の大地でどんな熱戦が繰り広げられるのか期待したい。

取材・文●小松崎弘(スマッシュ編集部)

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