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世界1位シフィオンテクがウインブルドン3回戦で逆転負け「タンクが突然空っぽになった感じ」とミス連発<SMASH>

中村光佑

2024.07.07

試合中盤からミスが続き、プチンツェワに逆転で敗れたシフィオンテク。全仏後に十分な休息が取れていなかったことを敗因の1つに挙げた。(C)Getty Images

 現在開催中のテニス四大大会「ウインブルドン」は現地7月6日に女子シングルス3回戦が行なわれ、第1シードで世界ランク1位のイガ・シフィオンテク(ポーランド)が登場。同35位のユリア・プチンツェワ(カザフスタン)に6-3、1-6、2-6の逆転で敗れ、2年連続のベスト16進出を逃した。

 6月の全仏オープンで殊勲の大会3連覇を飾った23歳のシフィオンテク。前哨戦で1度もプレーせずに臨んだ今大会は、2020年全豪オープン覇者のソフィア・ケニン(アメリカ/元4位/現49位)、四大大会で2度の8強入りを経験しているペトラ・マルティッチ(クロアチア/元14位/現85位)をいずれもストレートで下して3回戦へ進んでいた。

 トップスピンの利いたショットを軸に試合を組み立てるシフィオンテクにとって、ウインブルドンは鬼門と言ってもいい大会だ。これまでベスト8に進出したのは昨年の1度のみ。それでもここまでは質の高いプレーを見せていただけに悔しい敗戦となった。

 3回戦で顔を合わせたのは過去4勝0敗と負けなしのプチンツェワ。前哨戦の「ロスシー・クラシック」(イギリス・バーミンガム/WTA250)で芝大会初優勝を飾るなど勢いに乗っているが、試合はシフィオンテクが第5ゲームから3ゲームを連取するなど主導権を掌握し、第1セットを幸先よく先取した。

 ところがその後はミスを連発。試合を通して38本ものエラーを叩き、第2、3セット合わせて3ゲームしか取れず、1時間59分で敗退となった。
 
 この結果4月から続いていた連勝も21でストップ。試合後の会見で23歳の女王は敗戦の弁を次のように述べた。

「人生で最高のテニスをしていると感じているサーフェスから、少々苦戦を強いられている別のサーフェスに移るのは、私にとって簡単なことではないわ。そういう要素が重なって、今大会はあまり良い時間を過ごせなかった。(今日は)自分を限界まで追い込むためのタンクが突然空っぽになったような感じになった。それにはちょっと驚いたけど」

 またシフィオンテクは今大会で結果を残せなかった原因としてメディア対応等により、「十分な休養を取っていなかった」とも説明。「全仏優勝後に何を間違えてしまったのかは自分でもわかっている」と前置きし、こう続けた。

「あんなに厳しいクレーシーズンを過ごしたわけだから、回復の時間が本当に必要だった。芝のコートでは忍耐強く戦いつつ、ミスを受け入れるためのエネルギーも必要。メンタル的にも、ここではあまり良い結果を出せていない。

 クレーシーズンの後は、肉体的にも精神的にも、もっと回復する必要があると思う。テニスではなくオフコートの仕事の話をしているけど、それをするべきではなかった。来年は休暇を取って、文字通り何もしないでいようと思うわ」

 心身の疲労は相当のものだったのだろう。約3週間後のパリ五輪(7月27日~8月4日/クレー)に出場予定のシフィオンテク。メダル獲得へ向け、しっかりとリフレッシュしてほしい。

文●中村光佑

【動画】ウインブルドン3回戦、プチンツェワがシフィオンテクを破った瞬間

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