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ウインブルドンを訪問したフェデラー、マリーの特別セレモニーは出席できず「ダブルスが始まる直前に急いで会いに行った」<SMASH>

中村光佑

2024.07.09

マリー(右)のシングルスを観戦するため7月2日の早い便でウインブルドンに来たというフェデラー(左)だが、マリーは棄権し「どういうふうに事が進むかわかず、4日は予定を入れてしまった」とセレモニー不参加の理由を明かした。(C)Getty Images

 現在開催中のテニス四大大会「ウインブルドン」を訪れた男子テニス元世界1位のロジャー・フェデラー氏(スイス/42歳/引退)が、現地7月5日に同大会を中継しているアメリカのスポーツ専門チャンネル『ESPN』のインタビューに登場。その中で今大会がキャリア最後のウインブルドンとなる元世界王者のアンディ・マリー(イギリス/現113位)の特別セレモニーに出席できなかった理由を明かした。

 海外メディア『Sportskeeda』によると、フェデラー氏は大会中の現地2日にウインブルドンの会場に到着。その2日後に、マリーが兄のジェイミー・マリー(複元世界1位)とのペアでセンターコートにて特別に組まれた男子ダブルス1回戦に出場(結果は敗退)し、直後にはマリーの功績を称える特別セレモニーが挙行されたのだが、そこにはなぜかフェデラー氏の姿はなかった。

 フェデラー氏とマリーといえば、共に"ビッグ4"の一角として男子ツアーを引っ張ってきたかけがえのないライバルであり、12年のウインブルドン決勝や同年のロンドン五輪決勝など、重要なステージでも幾度となくしのぎを削ってきた。それゆえにセレモニーにフェデラー氏がいなかったことに違和感を抱いた人も多いはずだ。
 
 だがそれには致し方ない事情があった。フェデラー氏はマリーが「今大会のシングルスでプレーすることに備えて、火曜日(2日)の早い便でウインブルドンに来た」そうなのだが、開幕直前に脊椎囊胞(のうほう)の摘出手術を決行したマリーは、結果的にシングルスを棄権。これにより「どういうふうに事が進むかわからず、昨日の夜(4日)は予定を入れてしまった」といい、「ダブルスの試合が始まる直前に急いでアンディ(マリー)に会いに行った」とのことだ。

 その時のマリーの様子についてフェデラー氏は「彼は非常に緊張していたし、まさにその瞬間を気にかけているのが伝わってきた。ウインブルドンは彼と彼の家族、彼のチームにとってとても大切な大会だからね」とコメント。「セレモニーのハイライトを全て見てみたが、『彼にとって素晴らしいものになった』と思った」と続けた同氏は、最後にマリーとの思い出をこう語った。

「彼は2022年のレーバーカップ(男子団体戦)で私が引退した時もそこにいてくれた。本当にうれしかった。またアンディに会いたいよ。彼はなんて素晴らしいキャリアを送ったのだろう、と思うよ。私は彼にはおそらく20回くらい(実際は11回)負けたが、対戦するのは楽しかった。本当に素晴らしい選手だ」

 マリーの最後の雄姿を見られなかったのはフェデラー氏にとっても心残りだろう。それでもいずれはまたテニスコートで2人が打ち合う姿が見られるのではないだろうか。その時を楽しみに待っていたい。

文●中村光佑

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