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クレイチコワ、初のウインブルドン決勝進出!亡き恩師の教えを胸に「全てのボールに食らいつく」と意気込み<SMASH>

中村光佑

2024.07.12

クレイチコワは今は亡き恩師ノボトナの教えどおり、来るべき決勝でも自分らしく全力で戦い抜くことを誓った。(C)Getty Images

 いよいよ大詰めを迎えている今季3つ目のテニス四大大会「ウインブルドン」は、現地7月11日に女子シングルス準決勝を実施。第31シードのバルボラ・クレイチコワ(チェコ/世界ランク32位)が、第4シードのエレーナ・ルバキナ(カザフスタン/同4位)を3-6、6-3、6-4の逆転で破り、本大会初の決勝進出を決めた。

 2021年の全仏オープンで四大大会初優勝を飾った28歳のクレイチコワ。今季序盤はケガや体調不良に悩まされ出場大会でも結果が出ていなかったが、芝シーズンに入ってからは6月の「ロスシー・クラシック」(イギリス・バーミンガム/WTA250)で8強入りを果たすなど徐々に調子を上げていた。

 今大会は初戦から順調に勝ち上がり、準々決勝でも17年全仏オープン覇者のエレナ・オスタペンコ(ラトビア/同14位)に6-4、7-6(4)のストレートで勝利。準決勝では22年ウインブルドン女王のルバキナとの注目の対決を迎えた。

 試合はクレイチコワが第1ゲームから0-4とリードを奪われる苦しい展開。ブレークを2つ返す粘りを見せたものの、第6ゲームでの3度目のサービスダウンが響き、第1セットを3-6で落とした。

 それでも第2セット、クレイチコワは第6ゲームで巧みなドロップショットを起点に流れをつかみ、2本のブレークポイントを取得。最後は強烈なリターンで相手のミスを誘い、ルバキナのサービスを破ることに成功する。そのリードを守り切ってセットオールに持ち込むと、勝負のファイナルセットでは終盤の第7ゲームで値千金のブレークを奪い、2時間7分の熱戦をものにした。
 
 勝利者インタビューでは「とてもうれしいですし、たくさんの感情が湧き上がっています。非常にホッとしていると同時に、自分をとても誇りに思っています!」と少々興奮気味に喜びを表現したクレイチコワ。直後には1998年のウインブルドン覇者で、2017年にがんとの闘病の末に49歳の若さで他界したジュニア時代からの恩師、ヤナ・ノボトナ氏(チェコ/元2位)への想いを寄せつつ、次のように語った。

「数年前、私はノボトナさんと一緒に仕事をしていました。彼女はここでの旅やウインブルドンで優勝するためにどんなことを試みたのかなど、たくさんの話をしてくれました。その話をした時、私はまだ優勝を狙えるところにはいませんでした。でも今はこうして決勝に進みました。本当に驚いています」

 続いて「ノボトナさんはあなたのインスピレーションになっていますか?」との問いに「もちろん。彼女のことをよく考えていたのを覚えています。(彼女とは)素晴らしい思い出がたくさんあります。ここでコートに立つと、私はただ全てのボールに食らいつこうと戦います。それこそが彼女が私に望んでいることだと思っているからです」と答えると、インタビュワーに背を向けて号泣。会場からは万雷の拍手が巻き起こった。

 現地13日に行なわれる決勝では、6月の全仏オープンで初の四大大会決勝進出を果たした世界7位のジャスミン・パオリーニ(イタリア)と対戦するクレイチコワ。天国で見守るノボトナ氏に優勝を届けられるか注目だ。

文●中村光佑

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【動画】クレイチコワが決勝進出を決めたルバキナとのウインブルドン準決勝ハイライト