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海外テニス

ウインブルドンJrベスト4の18歳本田尚也!“ラファ・ナダルアカデミー”で培った「基礎力」が芝のコートで開花<SMASH>

内田暁

2024.07.14

準決勝では第2シードの選手に3-6、2-6で敗退した本田だが、ベスト4進出と躍進を果たした。写真:Getty Images(左)、内田暁(右)

準決勝では第2シードの選手に3-6、2-6で敗退した本田だが、ベスト4進出と躍進を果たした。写真:Getty Images(左)、内田暁(右)

 相手のリターンが大きくラインを割るのを見届けると、彼はその場に大の字に寝転んだ。

 背中に覚える芝の感触は、彼が今年、初めて知る聖地の息吹。初参戦のテニス四大大会「ウインブルドン」の男子ジュニア部門で、本田尚也はベスト4の結果を刻んだ。

 今年がジュニア最後のシーズンである本田にとって、今回のウインブルドンは人生で2度目の芝の大会。その未知のコートで、グランドスラムジュニア本戦初勝利を手にすると、4つの白星を連ねてベスト4へと躍進。本人も表情に少しの驚きの色を灯し、「本当にうれしいです」と言った。

 2年前から本田が拠点とし腕を磨くのは、スペイン・マヨルカ島の“ラファ・ナダルアカデミー”。コロナ禍で日本国内での試合機会を失った中学生時代、本田の視点は海外へと向いた。中学を卒業し、「ジュニアの国際大会に出ていきたい、いずれは世界で戦いたい」と心に決めた時、拠点を日本の外に求めたのも、自然の成り行きだったろう。そうして向かった先こそがが、地中海に浮かぶラファエル・ナダルの故郷、マヨルカ島であった。

 ナダルの叔父にしてコーチのトニー・ナダルが常駐し、元世界1位のカルロス・モヤの指導も受けられる環境で、本田は毎日ボールを打ち、英語でインターナショナルスクールの授業を受けてきた。かのナダルとも、「もう20回くらい練習で打ってもらいました」とさらりと言う。
 
「ラファはフレンドリーに話してくれますし、でももちろん、ボールはものすごく重いです。練習の質というか、気合の入り方も全然違う」

 だからこそ本田も、「ものすごい緊張感と集中力」で、練習に打ち込んでいると言った。

 その環境に身を置いたことで、本田が最も成長を感じるのが、「基礎がしっかり作れた」こと。

「やっぱりクレーコートは、自分からしっかり打たないと優位に立てない。そこで身体の使い方だったり、フットワークや戦術の面で、強化されたかなと思います」

 もちろん、フィジカル強化にも余念はない。そのトレーニング内容を問うと、「ウェイト系が多いですね。ダンベルをバチバチに上げるみたいに」と笑った。

 それら、赤土の王者をも育む土壌で築いた「基礎力」が、芝で開花したのは、不思議な符号にも思える。ただ、ラファ・ナダルアカデミーのコーチ陣は、「ナオヤは日本人だよ、芝は得意さ」と笑った。

「もちろん普段は、クレーで練習することが多い。でもナオヤは日本の速いコートで育った。低い姿勢で速いボールを打ち返すのは、彼の身体に染みついたプレーだ」
 
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