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【伊達公子】パリ五輪は錦織圭にとって集大成の場となるか。ダニエル太郎も出場!<SMASH>

伊達公子

2024.07.26

今の状態の錦織にとって「クレーは厳しいサーフェスです」と言う伊達公子さん。写真:THE DIGEST写真部

 いよいよ7月27日から4年に1度のスポーツの祭典「五輪」がパリで開幕します。テニス競技の日本代表として出場権を獲得したのは、錦織圭選手(世界ランク435位)、ダニエル太郎選手(同90位)、大坂なおみ選手(同102位)、内島萌夏選手(同66位)、女子ダブルスに柴原瑛菜選手(ダブルス24位)/青山修子選手(同26位)組の計6名です。

 錦織選手はプロテクトランキング(48位/負傷離脱前の順位でエントリーできる救済措置)での出場です。五輪と同じ会場で開催された、今年の全仏オープンでは2回戦で棄権となりました。五輪の前哨戦はエントリーしていましたが直前で出場を取り止めています。

 錦織選手の場合は、クレーコートでのプレーはうまいので十分戦えますが、懸念すべき点はやはりフィジカルです。以前のようなスタミナと強靭なフィジカルがない中で戦うには、クレーは厳しいサーフェスです。

 加えて、試合数を重ねると身体にダメージを負ってしまい、無理をしたいけどできない。できないけれど、しなくてはいけないという状態に陥っていると思います。今秋のジャパンオープンの頃にはプロテクトランキングが切れため、一気にランキングが下がります。そうした状況で、今後どうスケジュールを組んでいくのか。

 下部の大会から出場してランキングを上げていくのは、大変な道のりです。彼の場合は主催者推薦を獲得できる可能性が高いので、それを使ってどこまで引っ張れるか。今の状況を考えると、このパリ五輪がある意味で集大成の一つという思いがあるかもしれません。
 
 31歳のダニエル選手は、クレー育ちですが、クレー特有のスピン系から攻撃的な要素を加えたプレースタイルに変更しました。そしてプレースタイルを変えた後も、出場権を獲得していることがすごいですね。どんな状況でもやれることを模索していくタイプだと思います。

 メダルを狙えるかと言われると正直簡単ではないと思いますが、4年に1度のこの機会を楽しみながら、どん欲にトッププレーヤー相手にもアプセットを起こしてくれる可能性は十分にあるでしょう。

 ダブルスでは、柴原選手と青山選手のペアでの出場となりました。最近はツアーでは一緒に組んでいるわけではありませんが、国別対抗戦の「BJKカップ」では、やはりこれまでの経験で息の合ったプレーを見せてくれました。クレーというサーフェスはプレーする上で簡単ではありませんが、ダブルスでは流れやリズムが良いと何が起きてもおかしくないので、応援しましょう。

 今回はパリ五輪は、四大大会の全仏オープンが実施される会場で行なわれます。これはテニス競技をより魅力的にしてくれるでしょう。そして、男子テニス界をけん引してきた元王者ラファエル・ナダル(スペイン/現161位/38歳)とアンディ・マリー(イギリス/現121位/37歳)にとっては最後の五輪でもあります。彼らの戦いは見届けたいですね。
※ランキングは7月22日付け

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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