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海外テニス

大坂なおみが新コーチと目指すのは「全てのポイントで全力を尽くす」ことの先にある、アスリートとしての究極の高み

内田暁

2020.01.12

今季開幕戦のブリスベン国際では惜しくも決勝進出を逃した大坂だが、1週間後に始まる全豪オープンに向けてポジティブなエッセンスを手にしたようだ。(C)GettyImages

今季開幕戦のブリスベン国際では惜しくも決勝進出を逃した大坂だが、1週間後に始まる全豪オープンに向けてポジティブなエッセンスを手にしたようだ。(C)GettyImages

 会見場を訪れた大坂なおみの表情は、思いのほか穏やかだった。

 今季開幕戦となる、ブリスベン国際の準決勝戦後のこと。カロリーナ・プリスコワとの濃密で高質な2時間46分の戦いの末に、大坂は7-6(10)、6-7(3)、2-6のスコアで敗れていた。しかも第2セットでは、自らのサービスゲームでマッチポイントを握りながら……である。

 それにも関わらず、彼女は記者たちの質問にも、笑みを交えて答えていく。

 もちろん、敗戦が悔しくないはずがない。とりわけ、マッチポイントでのプレーに悔いを残したことは、本人も認めていた。それでも彼女は、全体としてはポジティブなエッセンスを、ブリスベンから持ち帰られるという。

「試合ごとに、調子を上げていけたこと」、そして「全てのポイントで、全力をつくして戦えたこと」――それらが、日頃は自分に厳しい大坂が、なにより自己評価できる要素だ。
 
 2020年を控えた22歳のオフシーズンは、例年とは少々異なる様相のなかで迎えていた。

 ひとつは、シーズン最終戦のWTAファイナルで肩を痛めたため、わずか4週間弱のトレーニングセッションしか設けられなかったこと。そしてその間、彼女の傍らには、新コーチのウィム・フィセッテがいたことだ。

 39歳と若いながら経験豊富な新コーチは、就任早々、チーム内で「プロフェッサー」と呼ばれるようになったという。

 それはなぜか……との問いに、大坂は「彼はとても効率がいいの」と笑い、パフォーマンスコーチのアブドゥル・シラーは「今の彼女に必要なものを教えられる、最高の先生」だと断言する。

 それらのチーム内の評価を本人に伝えると、“プロフェッサー”は穏やかな笑みを漏らして、「確かに僕は、効率重視のタイプだ」と認めた。

「データに基づき、必要なことに絞って練習をする。集中して短時間でやるべきことをやり、無駄なことはしないようにしている」

 それが、プロフェッサーの流儀のようだ。

 新たに歩み始めた師弟が目指す究極のプレーヤー像は、「いかなる強者が相手でも、自分のプレーで試合を支配できる選手」だという。「サービス、もしくはリターンからの2~3本のショットで主導権を握れば、彼女を倒せる者はまずいない」とフィセッテは確信する。それは、彼がこれまでに指導してきた選手を介し、対戦相手として大坂を分析した中で至った結論だろう。
 
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