会見場を訪れた大坂なおみの表情は、思いのほか穏やかだった。
今季開幕戦となる、ブリスベン国際の準決勝戦後のこと。カロリーナ・プリスコワとの濃密で高質な2時間46分の戦いの末に、大坂は7-6(10)、6-7(3)、2-6のスコアで敗れていた。しかも第2セットでは、自らのサービスゲームでマッチポイントを握りながら……である。
それにも関わらず、彼女は記者たちの質問にも、笑みを交えて答えていく。
もちろん、敗戦が悔しくないはずがない。とりわけ、マッチポイントでのプレーに悔いを残したことは、本人も認めていた。それでも彼女は、全体としてはポジティブなエッセンスを、ブリスベンから持ち帰られるという。
「試合ごとに、調子を上げていけたこと」、そして「全てのポイントで、全力をつくして戦えたこと」――それらが、日頃は自分に厳しい大坂が、なにより自己評価できる要素だ。
2020年を控えた22歳のオフシーズンは、例年とは少々異なる様相のなかで迎えていた。
ひとつは、シーズン最終戦のWTAファイナルで肩を痛めたため、わずか4週間弱のトレーニングセッションしか設けられなかったこと。そしてその間、彼女の傍らには、新コーチのウィム・フィセッテがいたことだ。
39歳と若いながら経験豊富な新コーチは、就任早々、チーム内で「プロフェッサー」と呼ばれるようになったという。
それはなぜか……との問いに、大坂は「彼はとても効率がいいの」と笑い、パフォーマンスコーチのアブドゥル・シラーは「今の彼女に必要なものを教えられる、最高の先生」だと断言する。
それらのチーム内の評価を本人に伝えると、"プロフェッサー"は穏やかな笑みを漏らして、「確かに僕は、効率重視のタイプだ」と認めた。
「データに基づき、必要なことに絞って練習をする。集中して短時間でやるべきことをやり、無駄なことはしないようにしている」
それが、プロフェッサーの流儀のようだ。
新たに歩み始めた師弟が目指す究極のプレーヤー像は、「いかなる強者が相手でも、自分のプレーで試合を支配できる選手」だという。「サービス、もしくはリターンからの2~3本のショットで主導権を握れば、彼女を倒せる者はまずいない」とフィセッテは確信する。それは、彼がこれまでに指導してきた選手を介し、対戦相手として大坂を分析した中で至った結論だろう。
今季開幕戦となる、ブリスベン国際の準決勝戦後のこと。カロリーナ・プリスコワとの濃密で高質な2時間46分の戦いの末に、大坂は7-6(10)、6-7(3)、2-6のスコアで敗れていた。しかも第2セットでは、自らのサービスゲームでマッチポイントを握りながら……である。
それにも関わらず、彼女は記者たちの質問にも、笑みを交えて答えていく。
もちろん、敗戦が悔しくないはずがない。とりわけ、マッチポイントでのプレーに悔いを残したことは、本人も認めていた。それでも彼女は、全体としてはポジティブなエッセンスを、ブリスベンから持ち帰られるという。
「試合ごとに、調子を上げていけたこと」、そして「全てのポイントで、全力をつくして戦えたこと」――それらが、日頃は自分に厳しい大坂が、なにより自己評価できる要素だ。
2020年を控えた22歳のオフシーズンは、例年とは少々異なる様相のなかで迎えていた。
ひとつは、シーズン最終戦のWTAファイナルで肩を痛めたため、わずか4週間弱のトレーニングセッションしか設けられなかったこと。そしてその間、彼女の傍らには、新コーチのウィム・フィセッテがいたことだ。
39歳と若いながら経験豊富な新コーチは、就任早々、チーム内で「プロフェッサー」と呼ばれるようになったという。
それはなぜか……との問いに、大坂は「彼はとても効率がいいの」と笑い、パフォーマンスコーチのアブドゥル・シラーは「今の彼女に必要なものを教えられる、最高の先生」だと断言する。
それらのチーム内の評価を本人に伝えると、"プロフェッサー"は穏やかな笑みを漏らして、「確かに僕は、効率重視のタイプだ」と認めた。
「データに基づき、必要なことに絞って練習をする。集中して短時間でやるべきことをやり、無駄なことはしないようにしている」
それが、プロフェッサーの流儀のようだ。
新たに歩み始めた師弟が目指す究極のプレーヤー像は、「いかなる強者が相手でも、自分のプレーで試合を支配できる選手」だという。「サービス、もしくはリターンからの2~3本のショットで主導権を握れば、彼女を倒せる者はまずいない」とフィセッテは確信する。それは、彼がこれまでに指導してきた選手を介し、対戦相手として大坂を分析した中で至った結論だろう。