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薬物問題、名将トニ・ナダル氏はシナーを擁護。賞金とポイントの没収で「十分に解決されたと私は信じる」<SMASH>

スマッシュ編集部

2024.08.28

ナダルの叔父で元コーチのトニ氏(左)は、シナー(右)の償いは済んでいるという意見。他選手との待遇の違いについて、シナーを非難すべきではないと主張する。(C)Getty Images

 いまだ波紋を広げている男子テニス世界1位、ヤニック・シナー(イタリア)のドーピング問題について、ラファエル・ナダルの叔父で元コーチでもあるトニ・ナダル氏が見解を明らかにしている。シナーを明確に擁護する立場だ。

 テニスの不正行為を監視する第三者機関「ITIA」によると、シナーは今年3月の「BNPパリバ・オープン」におけるドーピング検査で禁止薬物が検出されていた。暫定的な出場停止処分が科されたが、異議申立てが認められ処分はすぐさま解除。その後の詳しい調査の結果、違反が故意ではなく、選手本人の過失もなかったと判定され、シナーの資格は停止されず決着している。

 この発表を受けて様々な意見が飛びかうなか、トニ氏はスペインの『エル・パイス』紙に寄せたコラムで次のように書いた。

「イタリア人選手と彼のチームによる適切な説明があり、この選手が罪を犯したり、ましてや禁止薬物の使用から利益を得ようとすることがないのは、私にとって明白だ」

 このようにITIAの判断を支持しつつ、シナーの人柄を語っている。

「私はこの選手のことをよく知っているので、彼がサーキットで最も誠実で教養のある選手の1人であることを躊躇なく断言できる。その彼が虚偽の行動を取ることは、私には考えられない」

「彼のチーム内でミスが発生し、選手に課された金銭的制裁と400ポイントの損失によって、十分に解決されたと私は信じている」
 
 その上で、これまでのアンチドーピングの制裁が不合理だったと訴える。実際、タラ・ムーア(イギリス)やカグラ・ブイヤカカイ(トルコ)のように、汚染された食肉が原因のドーピング違反のケースで、出場停止処分の取り消しに長い時間を要した選手たちもいる。トニ氏は、そうした事例こそ精査されるべきで、非難の矛先をシナーに向けるのは間違っているという。

「一部のメディアは、他のケースでの不釣り合いな処分に不快感を示すどころか、現在の世界No.1にも同じような処分を要求している。それぞれのケースについて完全に知っているわけでもないのに、常に自分の意見を述べ、裁き、そして何よりも他人を非難したがる人々には、やはり驚かされる」

 また、シナー非難の声がツアー仲間から上がったことに驚きを隠さない。

「それがテニスサーキットの内部からであることに、私はもっと驚いている。間違いなく、彼と一緒に練習したり、対戦したことのある選手だということが理解できない。世界アンチドーピング機構が全ての選手を執拗に監視していることもよく知っているのに」

 注目が集まる中、シナーは開幕した「全米オープン」1回戦でマッケンジー・マクドナルド(アメリカ/同140位)に2-6、6-2、6-1、6-2で逆転勝利。2回戦ではアレックス・ミケルセン(アメリカ/同49位)と対戦する。

構成●スマッシュ編集部

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