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なぜシフィオンテクは球足の速い四大大会で苦戦するのか? レジェンドが「ディフェンスをしたがらないこと」を指摘<SMASH>

スマッシュ編集部

2024.09.13

テニス界レジェンドのマッケンロー氏(左)が、全米オープン準々決勝で敗退したシフィオンテク(右)の改善点を挙げた。(C)Getty Images

 アリーナ・サバレンカ(ベラルーシ/世界2位)の初優勝で幕を閉じた全米オープン。昨年の決勝でココ・ガウフ(アメリカ/世界6位)に逆転負けを喫したサバレンカは、最後まで盤石の戦いぶりを披露した。一方で、第1シードとして出場したイガ・シフィオンテク(ポーランド/世界1位)は、準々決勝のジェシカ・ペグラ(アメリカ/世界3位)戦で意外なほどあっさりと敗退してしまった。

 この敗戦に注目したのが、欧州スポーツメディア『Eurosport』の解説を務めるジョン・マッケンロー氏(アメリカ)だ。この試合を分析したうえで、シフィオンテクが球足の速いサーフェスでのパフォーマンスをいかに改善させるべきか論じている。

 今年の全仏オープンで3連覇を達成したシフィオンテクは、クレー以外のサーフェスでも比較的安定した成績を残すことで世界ランク1位の座を堅持している。タイトルを最も獲得しているのはハードコートである。ただ、四大大会に限ると他に優勝したのは2022年の全米オープンのみで、今年は全豪オープンとウインブルドンで3回戦敗退に終わるなど、苦戦しているのも事実だ。

 レジェンドがまず指摘したのは、彼女のディフェンス面だった。

「私から見ると、彼女の問題の一つは、ディフェンスをまったくしたがらないことだ。攻撃がクレーのようにいかない時は引くべきだ。遅いサーフェスを好む選手にしては驚きだが、彼女は打ち合いを続ける。彼女がより速いサーフェスにアジャストしようとしない、あるいはできないことにはちょっと驚いたよ」

 そして、23歳の若き女王の進化の可能性を語る。

「彼女が自信を失っていたかどうかはわからないが、もしイガのような選手が攻撃と同じようにしっかりとディフェンスをしたら、それに打ち勝つのは難しいだろう。アジャストしないことには驚いているけど、彼女は若い。きっと調整できるだろうし、ネットプレーも向上するだろう」
 
 続いて、オリンピックの影響について言及した。シフィオンテクを含め、パリ五輪に出場し勝ち進んだ選手が、短期間のうちにサーフェスの移行を強いられた件だ。全米を制したヤニック・シナー(イタリア/男子世界1位)とサバレンカはともに五輪回避組だった。

「オリンピックに出場していた選手たちが、肉体的にも精神的にも苦しんでいるのがわかるだろう。クレーから芝へ、そしてオリンピックのためにクレーに戻り、さらにハードコートに直行するのは簡単なことじゃない。オリンピックに出場しなかったジェシカ・ペグラ(実際には単複ともに早期敗退)は、ハードコートで調子を上げていて、イガにとっては厳しかった」

 そして最後に触れたのが過密スケジュール。全米オープンはシフィオンテクにとって今季14大会目であり、ここまで59試合を戦っている。

「スポンサーの関係で彼女がいくつかの大会に出場せざるを得ないのかどうかは知らないが、ある時点で一歩引いて、自分がしてきたことを評価する必要があるのかもしれない。彼女は素晴らしいキャリアを積んできたことに気付くべきだし、これからもっと良くなっていくだろう。彼女はまだ若いし、これから何年も活躍するだろう」

 シフィオンテクは、アジアでのハードコート・スイングにも出場する予定だ。

構成●スマッシュ編集部

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