海外テニス

日本がデ杯ファイナルズ予選進出!「なるべく決めないように」したエース西岡良仁のしたたかな計算<SMASH>

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2024.09.16

勝利を決めたヒーロー、西岡良仁を迎え歓喜する日本チーム。来年のファイナルズ予選の切符を手にした。写真:田中研治(THE DIGEST写真部)

 男子テニスの国別対抗戦「2024デビスカップ・ワールドグループ(WG)1部」の日本対コロンビア戦は9月15日、東京・有明コロシアムで2日目を迎えた。勝てば来年のファイナルズ予選に進み、負ければWG1部プレーオフに回る重要な戦いで、5戦中3勝したチームが勝利する。初日に西岡良仁(世界ランク54位)と錦織圭(205位)がシングルスに連勝し、王手をかけた日本は、2日目の初戦でダブルスを落としたものの、続くシングルスNo.1対決で西岡が粘り勝ちし、計3勝1敗でファイナルズ予選の切符を手にした。

 ダブルスは当初、錦織/綿貫陽介(複453位)を予定していた日本だが、前日の疲労から「出たいけれど難しい」という錦織の状態を考慮し、添田豪監督は綿貫/望月慎太郎(複1155位)にメンバーを変更。ダブルス巧者のニコラス・バリエントス(複53位)/クリスティアン・ロドリゲス(複107位)にぶつけた。

 第1セットは日本ペアが健闘。「リターンでは2人でプレッシャーをかけていった」と綿貫が言う通り、相手の2ndサービスを前に入って叩き、リズムを作る。特に綿貫が後ろで押し込み、望月がネットで動くパターンがよく機能し、バリエントスのサービスで2ブレークに成功。望月も2つブレークされるが、タイブレークに持ち込んで7-4で先取する。
 
 しかしさすがに相手は百戦錬磨だ。「彼らのリターンが良かったので、1stサービスのパーセンテージを上げようと2人で話した」とバリエントスが言うように、第1セットの63%から第2セットには79%まで1stの確率を上げてくると、日本ペアは攻め手がなくなる。ブレークチャンスを握れぬまま、「僕のサービスの確率が低かった」と悔やむ望月が2つサービスダウンを喫して2-6で第2セットを落とすと、第3セットはそこまでオールキープだった綿貫も失速する。

 ヒザの故障から約半年ぶりに戦線復帰したばかりの綿貫は「集中力が長く続かず、少し抜けるところがある」という状態で、「相手は最後までプレーの質が落ちなかった」のに比べると明らかに差があった。第3セットは綿貫が2つ、望月が1つサービスダウンし、1ブレーク返したものの3-6で日本ペアは振り切られた。

 この流れを食い止めたのが、シングルスエース対決に登場した西岡だ。相手のニコラス・メヒアはランキングでは237位と西岡より下だが、それ故に捨て身の攻撃で西岡にぶつかってきた。第1セットは先に西岡がサービスを落とし、すぐブレークバックしたが5-5まで競り合う互角の展開。一見すると西岡が低調なようにも見えたが、そうではなかった。

「初対戦だったので探り探りスタートしたが、少しずつペースをつかんだ。相手は最終的に崩れるだろうと思っていた」と西岡は言う。無理な強打はあまりせず、スピンボールを広角に散らして揺さぶると、メヒアは第11ゲームで立て続けにミスを犯し、西岡がブレーク。そのまま第1セットを7-5で奪う。
 
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あえてウイナーを狙わず相手を動かすことに徹した西岡