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海外テニス

元全米王者のデルポトロ、母国のエキジビで親友ジョコビッチに勝利し現役生活に幕「最高の形で終えることができて幸せだ」<SMASH>

中村光佑

2024.12.03

ジョコビッチ(左)とのエキジビションマッチで引退の花道を飾ったデルポトロ(右)。引退セレモニーでは大勢のファンへ心からの感謝を伝えた。(C)Getty Images

ジョコビッチ(左)とのエキジビションマッチで引退の花道を飾ったデルポトロ(右)。引退セレモニーでは大勢のファンへ心からの感謝を伝えた。(C)Getty Images

 現地12月1日、男子テニス元世界ランク3位のホアン・マルティン・デルポトロ(36歳)がアルゼンチン・ブエノスアイレスで開かれたエキジビションマッチ「エル・ウルティモ・デサフィオ(“最後の挑戦”の意)」で自身の引退試合を行ない、親友で元世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現7位)と対戦。6-4、7-5で勝利し、大勢の母国ファンの前で花道を飾った。

 198センチの長身を生かした豪快なフォアハンドを武器に、2009年全米オープンでの悲願の四大大会初優勝や、22度のツアー優勝をはじめ、数々の輝かしい功績を残してきたデルポトロ。だが彼のキャリアはケガとの闘いの連続でもあった。中でも右ヒザのケガは計6度の手術を決行するなど深刻化し、22年2月のアルゼンチン・オープン(アルゼンチン・ブエノスアイレス/クレー/ATP250)に出場して以来、ツアーではプレーしていなかった。

 そしてとうとう“不屈の男”が大きな決断を下した。まだ正式には引退していなかったデルポトロだったが、先日自身のSNSに投稿したインタビュー動画で今回のエキジビションをキャリア最後の試合にすると発表。ツアーで20度顔を合わせた親友のジョコビッチを現役ラストマッチの対戦相手として招待したのである。

 迎えた最終試合、デルポトロは会場からの大歓声を浴びながらキレのあるショットを披露。途中デルポトロのリクエストに応えてジョコビッチがナダルのリターンの構えを真似して観客の笑いを誘うなどゲームは和やかな雰囲気で進行した。
 
 第2セットではガブリエラ・サバティーニ氏(アルゼンチン/元3位)とヒセラ・ドゥルコ氏(アルゼンチン/元26位)のアルゼンチン女子テニス界のレジェンド2人もゲストとして登場。一部ダブルスを交え、デルポトロはサバティーニ氏と、ジョコビッチはドゥルコ氏とタッグを組んで両ペア共に息の合ったプレーを見せた。

 最後のポイントではデルポトロが自身の代名詞であるフォアのウィナーを決めて勝利。試合を終えるとネット際で涙を流しながらジョコビッチと約15秒にわたる熱いハグを交わしたのだった。

 試合後にはデルポトロの引退セレモニーを挙行。初めにジョコビッチがスピーチを行ない、心優しきライバルへの多大なリスペクトを次のように示した。

「彼(デルポトロ)とは約12年の仲だ。ここ数カ月、時間が経つにつれて、彼が僕の心の中でより身近な存在になったように感じていた。ライバルとプレーする時の感情は少し違ったものになるからね。この2日間で1000回くらい言ってきたが、彼を愛していない人を僕は知らない。彼は僕たち全員にとっての模範になる人物だと思う」

 続けて現役生活を終えたデルポトロは心からの感謝を示すとともに、別れの言葉をこう口にした。

「キャリアを通して僕についてきてくれた全ての人に、心の底から感謝している。これまでずっと、人々の愛が僕の心を満たしてくれた。悲しそうに見えるかもしれないけど、夢に描いた最高の形でキャリアを終えることができ、幸せだ。たとえ泣いてしまっても、幸せな気持ちで旅立つことを約束するよ。長年本当にありがとう。さようなら!」

 これにて“不屈の男”の最後の挑戦が幕を閉じた。

文●中村光佑

【画像】全米OP優勝、リオ五輪銀メダル獲得など輝かしい功績を残したデルポトロのキャリアを厳選ショットで紹介!

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