専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
国内テニス

2024年の最初と最後を飾った男子テニス界の若き才能、坂本怜!「大きなテニスを作っていきたい」とさらなる成長を誓う<SMASH>

内田暁

2024.12.12

今年1月に全豪ジュニア(写真)を制した坂本は。プロとなって臨んだ11月のチャレンジャー大会で優勝と飛躍の2024年を過ごしているが、本人は様々な葛藤を抱えていた。(C)Getty Images

今年1月に全豪ジュニア(写真)を制した坂本は。プロとなって臨んだ11月のチャレンジャー大会で優勝と飛躍の2024年を過ごしているが、本人は様々な葛藤を抱えていた。(C)Getty Images

 思えば今年の日本男子テニス界のニュースは、この人に始まり、この人で終わったと言えるかもしれない。

 1月末の全豪オープンジュニアで優勝し、11月末には、四日市チャレンジャーを制す。ジュニアの頂点で始まったシーズンを、大人での優勝で締めくくったとも言えるだろう。今年6月に18歳を迎えた坂本怜にとって、2024年は少年から大人へ、アマチュアからプロへの移行期でもあった。

 9月に有明コロシアムでプロ転向会見を開いた坂本は、12月9日には都内のヨネックスショールームにて、“ヨネックス総合契約締結”発表を行なった。ラケットからウェアやシューズまで、全身を“プロ装束”に包む姿は、さながら元服の装い。その席で坂本は、順風満帆に見えた1年の中で密かに抱えてきた葛藤を、次のように語った。

「メンタル面で苦しんだ自覚が、この1年はすごくあって。やっぱりスタートが良く、それに正直、150%くらいの力を出せてしまったので、理想が高くなり自分にプレッシャーをかけてしまった。思い通りにいかないと、相手との勝負じゃなくて、自分のショットがどうとか考える状態が続いてしまって……」

 自身を「すぐ天狗になるイケイケ系」と評する彼だが、それは己に多くを求めすぎる自分を客観視し、「謙虚になる」ための技法だろうか。
 
「その部分はかなり改善されてきて、『自分にプレッシャーをかけずに、練習でやったことを試合で出せるように』という、テニスを習った時に最初に教えられたところに戻ってきています」

 ここ数カ月の成長と変化を、坂本はそう述懐した。確かに坂本は全豪オープンで優勝した後も、そして四日市チャレンジャーで優勝したその日にも、15歳で渡米する時まで通った地元名古屋市のチェリーテニスクラブに顔を出している。それは、原点回帰のためのルーティーンでもあったのだろう。

 大きな夢や目標をさらりと口にする「ビッグマウス」も、自身を鼓舞する手段の一つ。

「ビッグマウスで、『俺は絶対チャレンジャーで優勝できる実力はある、メンタルが落ち着いたら一瞬で勝てる』ってずっと言ってたんですけど、でもそんなことは心の底から思ってたわけではなくて。自分でそう言うことで、フューチャーズとかで苦戦している自分を騙すというか、なんとか保ってたところはあったんです」
 
 そんな、自信と虚心の間で揺れ動く針が、均衡を見つけたのが11月の「慶應チャレンジャー」だった。
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号