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海外テニス

腹筋の痛みを抱えながらも全豪オープンを戦い切った大坂なおみ「ケガにも関わらず、良いプレーはできた」<SMASH>

内田暁

2025.01.19

全豪オープン3回戦では、腹筋の痛みでサービスを強く打てなかった大坂。健闘を見せたが、第1セット終了時に棄権を余儀なくされた。(C)Getty Images

全豪オープン3回戦では、腹筋の痛みでサービスを強く打てなかった大坂。健闘を見せたが、第1セット終了時に棄権を余儀なくされた。(C)Getty Images

 肩を落としベンチへと戻った大坂なおみは、助言を求めるように陣営の方を見た後に、目に涙をためて天を見つめた。立ち上がり、ベリンダ・ベンチッチと試合終了を意味する抱擁を交わしたのは、その直後のことだった。

 現在開催中のテニス四大大会「全豪オープン」の3回戦。大坂はベンチッチを相手に第1セットを6-7(3)で落とした時点で、腹筋のケガを理由に棄権した。全豪の前哨戦で腹筋を痛め棄権していた大坂は、開幕前の会見で「MRI検査の結果は、最高ではないが、最悪でもない」とケガの回復具合を表していた。2回戦のカロリーナ・ムチョバ戦後も、ケガについては言及を避け、状態が思わしくないことをにおわせていた。

 果たして、3回戦のベンチッチ戦。大坂のサービスは明らかに、本来の彼女のそれではなかった。いつもなら時速190キロ前後を記録するファーストサービスが、150キロ台を計測。トスが流れていくのは強風のためかと思われたが、実際には腹筋の痛みのため、上体を反らすことができないのが理由だった。トスの位置を左斜め前方にし、基本はスライスで凌ぐというのが、大坂陣営のプランだったようだ。
 
 そのような手負いの状態にも関わらず、第1セットで4-1とリードしたのは、重点的に取り組んでいるリターンと、元より備えているストローク力に他ならない。第1セットの第4ゲームでは、バックハンドのリターンエースや、相手の動きを見極めたパッシングショットでポイントを重ねた。ブレークポイントで決めたのは、ファアハンドのアングルショット。両翼から左右に打ち分ける数々の強打で、同期のライバルを圧倒した。

 ただやはり、サービスの手札を封じた状態で勝てるほどに、元世界4位は甘くない。元よりリターンの巧手として知られるベンチッチは、ライジングで大坂のサービスを捉えると、前に踏み込みフラットの強打を打ち込んでくる。

 大坂はゲームカウント5-3のサービスゲームまで漕ぎつけるも、ここでもファーストサービスがなかなか入らない。セカンドサービスをベンチッチに攻略され、ゲームカウントはイーブンに。痛み止めを飲み、タイブレークまで戦い抜くが、最後はバックが長くなりセットを落とす。彼女が棄権を申し出たのは、その直後のことだった。
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