海外テニス

並みいる実力者たちを打ち破ったキーズが悲願の全豪オープン初優勝!「この結果をずっと待ち望んでいた」<SMASH>

中村光佑

2025.01.26

準決勝では世界2位のシフィオンテク、決勝では世界1位のサバレンカをフルセットの末に勝ち切ったキーズ。(C)Getty Images

 2025年シーズン最初のテニス四大大会「全豪オープン」は大会14日目の現地1月25日に女子シングルス決勝を実施。第19シードのマディソン・キーズ(アメリカ/世界ランキング14位)が、ディフェンディングチャンピオンで第1シードのアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ/同1位)に6-3、2-6、7-5とフルセットの熱戦を制し、悲願の四大大会初優勝を達成した。

 17年の「全米オープン」(四大大会)で準優勝し、全豪でも2度ベスト4に進出している29歳のキーズは夫でコーチのビヨン・フラタンジェロ氏によるアドバイスの元、「身体の負担を減らす」ことを目的にラケットを新調。それが奏功して前哨戦の「アデレード国際」(WTA250)でツアー9勝目をゲットし、勢いそのままに今回の全豪でも並みいる実力者たちを打ち破ってきた。

 3回戦で同胞のダニエル・コリンズ(アメリカ/同11位)、4回戦で23年全豪の準優勝者のエレーナ・ルバキナ(カザフスタン/同7位)を破ると、準々決勝では元世界3位のエリーナ・スビトリーナ(ウクライナ/現27位)に勝利。準決勝では23歳にして四大大会5勝を挙げている元世界1位のイガ・シフィオンテク(ポーランド/現2位)を5-7、6-1、7-6(8)の逆転で下し、現女王に君臨するサバレンカとの決勝へ駒を進めていた。

 迎えた決勝戦でもキーズの持ち味である攻撃的なテニスが冴えわたった。序盤で硬さが見られたサバレンカを攻め立て、深いリターンとストロークから形を作ってオープニングゲームをいきなりブレーク。その後も力感のないスイングから繰り出される鋭いショットを軸に主導権を握り、結果的に3度のブレークを果たして幸先よく第1セットを先取した。
 
 続く第2セットは自身の度重なるエラーから先にサービスダウンを喫したキーズ。大きなテーピングを施していた左太ももに痛みが生じたのか、特にこのセットはバックハンド側でのミスが目立ち、思うようにポイントを取れなくなってしまった。プレーに変化をつけてきたサバレンカの前後の揺さぶりにも苦戦し、わずか2ゲームしか奪えずにセットオールに持ち込まれた。

 運命のファイナルセットは互いに一歩も譲らず。両者の気持ちと気持ちがぶつかり合い、会場の緊張感も次第に高まっていく。そして10ポイントマッチタイブレークに突入するかと思われた最終第12ゲーム、ついに激戦に終止符が打たれた。キーズが力強いリターンでサバレンカを崩し、2本のブレーク及びマッチポイントを取得。1本目を凌がれるも2本目で見事なフォアハンド逆クロスのウィナーを決め、2時間2分で頂点に立った。

 この結果キーズは大会後に更新される世界ランキングで23年シーズン以来のトップ10復帰が確定(自己最高位タイの7位)。表彰式では涙ながらに喜びと身近な人々への感謝を語った。

「この結果をずっと待ち望んでいた。1度だけ四大大会の決勝に進んだことはあったけど、また戻ってこられるかわからなかった。私を支えてくれた全員に感謝を伝えたい」

 一方敗れたサバレンカは1968年のオープン化以降で史上6人目となる全豪3連覇はならず。それでも3大会連続の決勝進出と、変わらぬメルボルンとの相性の良さを見せた。

文●中村光佑

【動画】キーズVSサバレンカの「全豪オープン」決勝ハイライト

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