テニス四大大会「全豪オープン」の男子シングルスは、23歳にして世界ランク1位に君臨するヤニック・シナー(イタリア)の大会連覇で幕を閉じた。だがそれまでの道のりは非常に険しかったと、コーチを務めるダレン・ケーヒル氏(オーストラリア/59歳)が明かしている。
最大の山場を迎えたのは同世代のライバルであるホルガー・ルネ(デンマーク/12位/21歳)との4回戦だった。気温約30度の蒸し暑さの中で行なわれたこの試合、セットカウント1-1で迎えた第3セット中盤でシナーは体調不良によるメディカルタイムアウトを要求。手の震えを来たすほどのひどい状態だったが、およそ10分間の治療を経てプレーを続行し、動きのキレも取り戻して6-3、3-6、6-3、6-2で勝利した。
以降はアレックス・デミノー(オーストラリア/現8位)、ベン・シェルトン(アメリカ/現14位)、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/現2位)をいずれもストレートで下し、メルボルンで2度目の頂点に立ったシナー。2022年6月から同選手を指導しているケーヒル氏は先日応じた海外メディア『SEN』のインタビューで、大会期間中に愛弟子がウイルス性の病気に感染したと明かし、その詳細をこう説明した。
「彼(シナー)はマルコス・ギロン(アメリカ/現43位)との3回戦を終えた数時間後から体調が悪くなり、ルネ戦の前日には悪化してすぐに寝てしまった。その日は朝早くに練習を行なう予定だったが、キャンセルせざるを得なかったし、ルネとの試合も(寸前まで)プレーできるかどうかわからなかった」
「試合の直前にウォーミングアップをしたが、その時点で彼は完全に顔色が悪かった。すぐに医者のところに行ってエネルギーを回復させるためのジェルをもらった。同時に氷風呂に入ることも勧められて、その後でコートに立った」
そうした逆境を乗り越えたシナーをほんの一握りの特別な選手だと称賛したケーヒル氏は、ルネ戦でのメディカルタイムアウトが成功のカギになったと振り返る。
「彼が第3セットで休憩に入って、少し回復したのは運が良かった。あの時点ではかなりひどかったからね。脈拍などを測ろうとしたが、測れなかったから彼を一旦コートの外(医務室)に連れて行った。そこで10分ほど休ませてからコートに戻ってきた時には顔色が回復し、元気を取り戻しているように見えた」
崖っぷちから生還しただけでなく、2連覇という最高の結果で大会を締めくくったのはさすが世界王者と言えよう。その類まれなる精神力と回復力こそ、シナーが若くしてトップに君臨する理由を物語っている。
文●中村光佑
【画像】世界1位のシナーがズベレフをストレートで破り大会2連覇を達成!|全豪オープン2025男子決勝・厳選PHOTO
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以降はアレックス・デミノー(オーストラリア/現8位)、ベン・シェルトン(アメリカ/現14位)、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/現2位)をいずれもストレートで下し、メルボルンで2度目の頂点に立ったシナー。2022年6月から同選手を指導しているケーヒル氏は先日応じた海外メディア『SEN』のインタビューで、大会期間中に愛弟子がウイルス性の病気に感染したと明かし、その詳細をこう説明した。
「彼(シナー)はマルコス・ギロン(アメリカ/現43位)との3回戦を終えた数時間後から体調が悪くなり、ルネ戦の前日には悪化してすぐに寝てしまった。その日は朝早くに練習を行なう予定だったが、キャンセルせざるを得なかったし、ルネとの試合も(寸前まで)プレーできるかどうかわからなかった」
「試合の直前にウォーミングアップをしたが、その時点で彼は完全に顔色が悪かった。すぐに医者のところに行ってエネルギーを回復させるためのジェルをもらった。同時に氷風呂に入ることも勧められて、その後でコートに立った」
そうした逆境を乗り越えたシナーをほんの一握りの特別な選手だと称賛したケーヒル氏は、ルネ戦でのメディカルタイムアウトが成功のカギになったと振り返る。
「彼が第3セットで休憩に入って、少し回復したのは運が良かった。あの時点ではかなりひどかったからね。脈拍などを測ろうとしたが、測れなかったから彼を一旦コートの外(医務室)に連れて行った。そこで10分ほど休ませてからコートに戻ってきた時には顔色が回復し、元気を取り戻しているように見えた」
崖っぷちから生還しただけでなく、2連覇という最高の結果で大会を締めくくったのはさすが世界王者と言えよう。その類まれなる精神力と回復力こそ、シナーが若くしてトップに君臨する理由を物語っている。
文●中村光佑
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