現地2月1日に実施された男子テニス国別対抗戦「2025デビスカップ」ファイナル予選1回戦のチリ対ベルギー戦で信じられない事態が発生し、テニス界で波紋を広げている。
事件はベルギーが2勝1敗(シングルス4試合、ダブルス1試合:先に3勝で勝利)でリードして迎えた第4試合のシングルスで起きた。ベルギーはジゾー・ベルグス(世界ランキング60位)、チリはクリスチャン・ガリン(元世界17位/現133位)を投入し、試合はファイナルセットにもつれ込む接戦に。一進一退の攻防が繰り広げられる中、5-5で迎えた第11ゲームでベルグスが値千金のブレークを果たし、勝利まであと1ゲームとした。
その直後だった。チェンジエンドの際、大事な場面で均衡を破ったことで自陣へ向かって走りながら全身で喜びを表現したベルグスと、うつむき加減でベンチに戻っていくガリンが激しく衝突。ガリンは右目の当たりを押さえながら仰向けに倒れてしまい、試合は一時中断となった。
スペインメディア『Punto de Break』によると、中断中にチリはベルグス並びにベルギーの失格を求めたものの受け入れられなかったという。それどころか主審は負傷によりプレー続行を拒否したガリンに対して3度の警告とゲームペナルティを与え、これにてチリの敗退が決定。何とも後味の悪い結末となってしまった。
スタジアム全体が騒然となったこの出来事を受け、試合後の記者会見でチリのチームドクターを務めるアレハンドロ・オリソラ氏はガリンの状態をこう説明している。「目に強い打撃を受け、転倒して頭も打った。意識を失うことはなかったが、炎症や視力障害に加え、吐き気やひどい頭痛もあった。彼はプレーを続けられる状態ではなかった」
その後ガリン本人がインスタグラム(@garincris)のストーリーズ(24時間で自動消去される投稿)を更新し、ぶつけられた自身の顔の右半分を写した画像を公開。それを見てみると目だけでなく全体的に赤みを帯びており、非常に痛々しい1枚となっている。
一連の騒動はチリオリンピック委員会も介入する事態に発展しており、同委員会は「(今回の事件に対する)憤りと信じがたい思いを表明したい」との公式声明を発表。一方、ベルギーチームのスティーブ・ダルシス主将(元38位)はベルグスの行為が故意ではなかったとし、下記のように弁明した。
「彼が失格になる可能性はあったかもしれないが、それは審判の解釈だ。試合中の出来事で、あのようなことは起こりうる。ジズーはわざとやったわけではない」
またベルグスも過ちを認めつつも、ガリンは衝突が起こる前に自分を見ていたと指摘する。
「僕は(喜びのあまり)飛び跳ねながらベンチまで向かっていった。彼(ガリン)より先にベンチに着いたと思ったけどね。だが彼も動かず、僕が近づいてくるのに気付いていたはず。彼の言い分が大げさすぎると思ったが、僕のせいに違いない。でも審判は僕の言い分を支持した」と事件を受けての自らの見解を示した。
結局ベルギー側にペナルティは科されず、今回の勝利により今年9月に行なわれるオーストラリアとのファイナル予選2回戦に進出することが確定。敗れたチリはワールドグループ1部への降格が決まった。
文●中村光佑
【動画】ベルグスがガリンと激しく衝突したシーン
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事件はベルギーが2勝1敗(シングルス4試合、ダブルス1試合:先に3勝で勝利)でリードして迎えた第4試合のシングルスで起きた。ベルギーはジゾー・ベルグス(世界ランキング60位)、チリはクリスチャン・ガリン(元世界17位/現133位)を投入し、試合はファイナルセットにもつれ込む接戦に。一進一退の攻防が繰り広げられる中、5-5で迎えた第11ゲームでベルグスが値千金のブレークを果たし、勝利まであと1ゲームとした。
その直後だった。チェンジエンドの際、大事な場面で均衡を破ったことで自陣へ向かって走りながら全身で喜びを表現したベルグスと、うつむき加減でベンチに戻っていくガリンが激しく衝突。ガリンは右目の当たりを押さえながら仰向けに倒れてしまい、試合は一時中断となった。
スペインメディア『Punto de Break』によると、中断中にチリはベルグス並びにベルギーの失格を求めたものの受け入れられなかったという。それどころか主審は負傷によりプレー続行を拒否したガリンに対して3度の警告とゲームペナルティを与え、これにてチリの敗退が決定。何とも後味の悪い結末となってしまった。
スタジアム全体が騒然となったこの出来事を受け、試合後の記者会見でチリのチームドクターを務めるアレハンドロ・オリソラ氏はガリンの状態をこう説明している。「目に強い打撃を受け、転倒して頭も打った。意識を失うことはなかったが、炎症や視力障害に加え、吐き気やひどい頭痛もあった。彼はプレーを続けられる状態ではなかった」
その後ガリン本人がインスタグラム(@garincris)のストーリーズ(24時間で自動消去される投稿)を更新し、ぶつけられた自身の顔の右半分を写した画像を公開。それを見てみると目だけでなく全体的に赤みを帯びており、非常に痛々しい1枚となっている。
一連の騒動はチリオリンピック委員会も介入する事態に発展しており、同委員会は「(今回の事件に対する)憤りと信じがたい思いを表明したい」との公式声明を発表。一方、ベルギーチームのスティーブ・ダルシス主将(元38位)はベルグスの行為が故意ではなかったとし、下記のように弁明した。
「彼が失格になる可能性はあったかもしれないが、それは審判の解釈だ。試合中の出来事で、あのようなことは起こりうる。ジズーはわざとやったわけではない」
またベルグスも過ちを認めつつも、ガリンは衝突が起こる前に自分を見ていたと指摘する。
「僕は(喜びのあまり)飛び跳ねながらベンチまで向かっていった。彼(ガリン)より先にベンチに着いたと思ったけどね。だが彼も動かず、僕が近づいてくるのに気付いていたはず。彼の言い分が大げさすぎると思ったが、僕のせいに違いない。でも審判は僕の言い分を支持した」と事件を受けての自らの見解を示した。
結局ベルギー側にペナルティは科されず、今回の勝利により今年9月に行なわれるオーストラリアとのファイナル予選2回戦に進出することが確定。敗れたチリはワールドグループ1部への降格が決まった。
文●中村光佑
【動画】ベルグスがガリンと激しく衝突したシーン
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