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【テニスルール虎の巻】プロは試合中でもコーチングを受けられるようになったが、なぜアマチュア大会では禁止なのか<SMASH>

スマッシュ編集部

2025.02.09

試合中のコーチングに関する扱いがどうしてプロとアマチュアで違うのだろうか(写真は今年の全豪オープンで新設されたコートサイドのコーチングポッド)。(C)Getty Images

試合中のコーチングに関する扱いがどうしてプロとアマチュアで違うのだろうか(写真は今年の全豪オープンで新設されたコートサイドのコーチングポッド)。(C)Getty Images

 多くのアマチュアは自分自身でゲームの判定を下す「セルフジャッジ」でテニスの試合をしています。「自分で判定するなら簡単」と思うかもしれませんが、それは大間違い。いい加減な判定によってトラブルを起こすことが多々あるからです。

 そうしたトラブルなしで試合を楽しむには、とにかくルールに詳しくなることが大切です。そこでテニス四大大会の出場経験を持つ元プロ選手で現在公認審判員も務める岡川恵美子氏にケース別でルールについて解説してもらいました。

 今回は試合中のコーチングについてです。アマチュアの試合では「試合中に外部からコーチングを受けること」はルールで禁じられています。しかしプロの試合では近年、試合中にアドバイスを受けることが可能になりました。今年1月開催の四大大会「全豪オープン」ではコートサイドに新たに『コーチングポッド』まで設けられています。

 ではなぜ、プロの試合ではコーチング可能なのにアマチュアの試合ではダメなのでしょうか。

   ◆    ◆    ◆

 国別対抗戦はチームとして戦うのでエンドチェンジの際にキャプテンからアドバイスを受けることができますが、個人戦でもコーチングが許されるようになったのはここ2年ほどでまだ歴史は浅く、賛否両論あります。個人戦でのコーチングはトライアル期間を経て選手やコーチにリサーチした上で導入されました。

 では、なぜ試合中のコーチングを許可したかというと、見どころを増やすためだと思います。
 
 プロの試合は入場料をいただいて、お客様に楽しんでもらうものです。そう考えた時にコーチングにより技術的な部分や心理的な部分でアドバイスできれば、ゲームの流れが変わることもあります。興行的に考えれば、その方がより試合が面白くなるだろうという結論に至ったのでしょう。

 もともとテニスは貴族などの娯楽から始まったスポーツです。ゆえに他の人の力を借りてまで試合に勝ちたいという考えはなかったのでしょう。あくまでも自己のなかで完結するゲームで「コートに入ったら1対1の真剣勝負」という感じです。

 アマチュアの場合はそうした伝統を受け継いでいるのではないでしょうか。コーチングの導入はあくまでも、見る側を想定したルールの変更です。私たちは自分の心技体を十分に発揮し、ゲームを楽しめるようにしたいものです。

解説●岡川恵美子
17歳で全日本選手権を制覇して日本初の高校生プロとなる。グランドスラム(四大大会)では、全豪オープン3回戦進出をはじめ、全仏オープンやウインブルドンの本戦に出場。現在はベテラン大会に挑戦しながら、ITF公認審判員、JTA公認審判員も務める。日本テニス協会理事。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2025年1号より抜粋・再編集

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