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今季未勝利の39歳ワウリンカ。元世界2位の熟練コーチは「調子が良ければ世界のトップに勝てる」と太鼓判<SMASH>

中村光佑

2025.02.19

長年、ワウリンカ(右)のコーチとして間近に接してきたノーマン氏(左)は、今も変わらぬ愛弟子の情熱を実感し、「まだ競争力がある」と保証する。(C)Getty Images

 最高峰の舞台である四大大会のシングルスで3度の優勝(全豪・全仏・全米)を経験している男子テニス元世界3位のスタン・ワウリンカ(スイス/現171位/39歳)。今シーズンはまだツアー本戦での勝利はないが、3月に40歳を迎える彼の闘争心は未だ衰えを見せていない。

 先週出場したATP500シリーズ「ABNアムロ・オープン」(2月3日~9日/オランダ・ロッテルダム)では初戦敗退したものの、1回戦でトップ10選手のダニール・メドベージェフ(ロシア/現6位)から1セットを奪うなど全盛期を彷彿とさせるプレーを披露。中でも持ち味の美しくも力強い片手バックハンドに、会場は大いに盛り上がりを見せた。

 2013年からワウリンカと苦楽を共にしてきたコーチのマグナス・ノーマン氏(元世界2位。両者は20年に一度師弟関係を解消、22年にタッグ再結成)も、"愛弟子"の変わらぬモチベーションの高さをひしひしと感じている様子。先日出演したテニス系ポッドキャスト『The Sit-Down』で同氏は次のように語った。

「彼はテニスが大好きで、それこそが彼の"情熱"とも言える。コートに出て練習することが本当に好きなんだ。それは見ていても伝わってくるし、実感もしている。今朝も一緒に1時間半ほど練習したが、最初の頃と同じように楽しかったし、彼も同じ気持ちだと思う。彼にはまだ競争力があると思っているし、調子が良ければ世界のトップ選手に勝つこともできると信じている」
 
 ツアー16勝をはじめ数々の輝かしい功績を収めてきたワウリンカだが、一方で下半身を中心に度重なる故障に悩まされ、その道のりは決して平たんではなかった。22年3月にヒザのケガからカムバックし翌23年8月にトップ50復帰を果たすも、11月の「モゼール・オープン」(ATP250)では足首を負傷。下部大会を含め10勝17敗と負け越した昨シーズンのワウリンカは、どちらかと言えば「回復に時間を費やしていた」とノーマン氏は振り返る。

 幾多の苦難を乗り越え、今のワウリンカの状態は「昨年よりも良い」と太鼓判を押すノーマン氏。最後はずっとそばで見守ってきた愛弟子への期待を込め、こう締めくくった。

「ヒザの手術を受けた時の彼はキャリアの危機に瀕していたし、復帰には相当な努力が必要だったが、それでも彼はトップ50に戻ることができた。それは精神的に非常に大変なことだったが、今は復活したと感じている。昨年の終盤には、彼のコンディションはかなり良くなっていた。2025年シーズンに向けた準備は、24年のそれよりも整っていたと思う。彼の今後が楽しみだ」

 男子テニスの一時代を築いた"ビッグ4"(フェデラー、ナダル、ジョコビッチ、マリー)とも互角に渡り合ったワウリンカが、大ベテランとなった今でも若手に負けじと懸命に戦い続ける姿に心を打たれているファンは多いはず。また近いうちにツアータイトルを獲得するところも見てみたいものだ。

文●中村光佑

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