女子テニスの元世界ランク１位ビーナス・ウィリアムズ（アメリカ／現975位）が「BNPパリバ・オープン」（３月５日～16日／アメリカ・インディアンウェルズ／WTA1000）のワイルドカード（主催者推薦）を辞退し、その経緯が話題となっている。

　大会側はこの44歳の大ベテランに主催者推薦を与えると２月19日に公表してファンを喜ばせていたが、本人は『テニスウィークリー』のポッドキャストで出場を否定。「実際にはプレーしません。海外にいる予定なんです」と先約があると言い、「みんなが知った時に私も知ったわ（笑）」と大会側のオファーを公式発表まで知らなかったと明かしている。

　これを受け、元世界２位で現在は同大会のトーナメントディレクターを務めているトミー・ハースも大会公式SNSで２月24日に次のように発信。主催者推薦について明確で直接的なコミュニケーションが欠けていたようだ。

「ビーナスが今年のワイルドカードを辞退するとことを通知されました。私たちはビーナスの幸運を祈っており、将来彼女がインディアンウェルズに戻ってくることを願っています」

　いずれにしても、2024年３月の「マイアミ・オープン」１回戦でディアナ・シュナイダー（ロシア）に敗れて以来となるビーナスのコート復帰はこのタイミングでは実現しない。
  　ウィリアムズ姉妹とインディアンウェルズと言えば、かつては深刻な緊張状態にあった。2001年大会の準決勝でセレナとの姉妹対決が決まった後、ビーナスが負傷のため棄権すると、一斉に非難が巻き起こった。父リチャードが姉妹の勝敗を決めているというあらぬ噂まで立てられたほどだ。

　キム・クリステルス（ベルギー）との決勝でセレナは終始ブーイングを浴び続け、優勝を果たした後もそれは鳴り止まなかった。深く傷ついた一家はこれを機に大会出場を拒否。セレナは2015年まで、ビーナスは2016年まで大会に戻ることはなかったのだ。

　ただし、今回のビーナスの出場辞退は大会側との確執が原因ではないことがはっきりしている。件のポッドキャストでビーナスは「ある選手から『ダブルスやってくれない？』ってメールをもらいました。私はプレーしないけど、インディアンウェルズは大好き。だから、もし出られたら『イエス』って言ったと思います」ともコメントしている。

　元女王は、いつコートに戻り勇姿を見せてくれるだろうか。

構成●スマッシュ編集部

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