プロテニス選手は、高度なショットをいとも簡単に叩き込む。なぜあんなボールが打てるのか？ その秘訣をプロ本人に明かしてもらうシリーズ。今回は学生女王からプロとなり、日本ランクトップ10入りを果たした佐藤南帆選手の２回目。コンパクトに合わせて返す両手バックリターンを解説してくれた。

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　リターンは得意な方ですが、外国人選手はビッグサーバーが多いので、まずは１本でも多く返球するように心掛けています。しっかり返すことからスタートし、ラリーに持ち込む。ただし、少しでも相手のサービスが緩かったらアタックしようという感じです。

　この写真は相手の１stサービスだと思います。基本的に私はベースラインの少し後ろぐらいで構えて（写真１コマ目）、一歩前に踏み出してコンパクトに返すことを意識しています。大きくステップする必要はなく、この写真でも小さく前に入ってますね（２コマ目）。

　デュースサイドでセンターに来たサービスに対して、左足を軸足として決めて（４コマ目）、右足を前に出しながら打っています（５～７コマ目）。腕で打つというより、足の力で返すイメージです。

　１stサービスにしてはポジションが前めなのは、それがやりやすいから。それと、後ろにいると良いサービスはどんどん離れていくので、角度を狭める意味もあります。
  　足を踏み出す一方で、スイングは大きくしません。２ndサービスだともう少し自分から打ちにいきますが、１stはコンパクトに面を合わせるようにしています（６コマ目）。これを見ても、フィニッシュでラケットは背中の方まで行っておらず、右肩の前ぐらいで止まっています（８コマ目）。

　速いサービスに対しては、ボレーと同じで面さえ合わせれば足の力でパンッと返るので、このぐらいで十分です。そのぶん、すぐに次の準備に移るようにしています。

【プロフィール】佐藤南帆／さとうなほ
2001年１月23日、東京都生まれ。153cm、右利き。全仏ジュニアダブルスで準優勝し慶大に進学。インカレ、ユニバーシアード女王となり、22年秋にプロ転向する。両サイド両手打ちの強打と頭脳的な組み立てが武器。22年全日本選手権ベスト４、ITFツアー通算単５勝、複15勝。24年は国内ランク単９位、複８位をマークした。三田興産所属。

構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2023年８月号より再編集

【連続写真】振らずに合わせた佐藤南帆の両手バックリターン『30コマの超分解写真』

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