専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

【伊達公子】試合に勝った選手に対して、次の試合までに指導者が行なうべきこと<SMASH>

伊達公子

2025.03.21

「1試合に勝って終わりではありません」と言う伊達公子さん。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

「1試合に勝って終わりではありません」と言う伊達公子さん。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 前回はテニスの大会で試合に勝利した後、勝ち続けるために、どういう行動や考えをするべきかを紹介しました。今回は勝った選手に対して、指導者が何をするべきかについてです。

 シード選手に勝利して金星を挙げた選手は、気持ちが高揚します。この時、指導者も一緒に喜んでいるだけではいけません。少し冷静になり、何が良くて上位選手に勝てたのかを整理して選手を少し落ち着かせることです。

 冷静になりすぎる必要はありません。選手の「できるぞ」という自信まで鎮火させてはもったいないので、その勢いは残せるようにするのがポイントです。

「何も考えずに上位選手に勝てたから、次も行ける」と、勢いだけに頼ると、ほぼ失敗します。シード選手を倒した次の試合こそが、大事だと認識してください。

 テニスでの最大のゴールは優勝することです。1試合に勝って終わりではありません。5試合戦い抜くことを考えていきましょう。テニスはメンタルが大きく左右するスポーツですから、得た自信を持ちつつ、落ち着いて次の試合に臨める状態になるように導いてください。
 
 コーチのするべきことは、選手のコンディションがきちんと整えられるように時間を割くことです。試合の後というのは、時間がありそうでないものなので、何を優先するべきかという判断も大切になってきます。

 例えば若い選手だと、試合内容の振り返りも大切になってきますし、修正が必要なショットがある場合は少し打った方がいいのかなど、コーチが判断してリードする必要があります。

 次の対戦相手の試合を実際に見るリサーチには昔ほど時間をかけない傾向ではないかと思います。同じぐらいのレベルの選手だと、出場する大会が重なっているので選手の傾向はある程度把握できていると思いますし、現在は映像を簡単に見つけられます。ただし、今週は調子がいい、ケガをしているなど、実際に見ないとわからないこともあります。

 昔よりも手に入る情報が増えたぶん、戦略面でコーチに求められることは増えてきています。これは選手がどこまで求めるかにもよりますが、情報の分析力は今後も必要な能力となるでしょう。

 1試合の勝利よりも年間を通して勝ち続けられることが大事です。だからこそ、今何に取り組んでいて、そのためにこれをすることが必要ということを理解させて、必要な行動がとれるようにする必要があるでしょう。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

【画像】世界4位にまで上り詰めた伊達公子のキャリアを写真で振り返り!

【関連記事】【伊達公子】試合に負けた後のテニス選手の状態や複雑なメンタリティ<SMASH>

【関連記事】【伊達公子】試合に負けたテニス選手に対してコーチや家族が取る行動<SMASH> 
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号