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【テニスルール虎の巻】ゲーム中に「足のケイレン」で痛くて動けない!こんな時に役立つ「ポイントを譲る」という裏技<SMASH>

スマッシュ編集部

2025.03.08

ルールでは激痛であっても筋肉のケイレンで試合を止めて治療を受けることはできない。では、こんな時はどうすればいいのか。(C)Getty Images

ルールでは激痛であっても筋肉のケイレンで試合を止めて治療を受けることはできない。では、こんな時はどうすればいいのか。(C)Getty Images

 多くのアマチュアは自分自身でゲームの判定を下す「セルフジャッジ」でテニスの試合をしています。「自分で判定するなら簡単だ」と思うかもしれませんが、それは大間違い。いい加減な判定によってトラブルを起こすことが多々あるからです。

 そうしたトラブルなしで試合を楽しむには、とにかくルールに詳しくなることが大切です。そこでテニス四大大会の出場経験を持つ元プロ選手で現在公認審判員も務める岡川恵美子氏にケース別でルールについて解説してもらいました。

 今回は試合中に「ケイレンに襲われた場合の対処法」についてです。

 例えば、5-3とリードして迎えた自身のサービスゲームで、突如足の筋肉がケイレンを始めたとします。あと少しで勝てそうですが、痛みがひどくてサービスが打てません――。

 ルールではケイレンの処置のためにゲームを止てメディカルタイムアウト(身体に不調が起きた際の治療)を取ることはできません。では、こんな時に何か良い救済措置はあるのでしょうか。

   ◆    ◆    ◆

 ケイレンの処置でメディカルタイムアウトはとれませんが、エンドチェンジの休憩時間内であれば処置を受けられます。

 質問のようなケースなら、相手にポイントを譲るという方法があります。そうしてスコアを5-4にしてもらい(奇数ゲームが終了したらエンドチェンジとなる)、次のゲームが始まるまでの90秒間を使ってケイレンの処置をすることが可能です。
 
 処置は1試合で2回できます。だからゲームを再開したものの、またケイレンに襲われた場合は、今度は相手に2ゲームを譲ってスコアを5-6にしてもらい、エンドチェンジで処置を受けるという方法もあります。

 医者やトレーナーがいる大会ならば、エンドチェンジの際に呼んでもらうこともできますが、そうしたスタッフがいない草大会などでは、自分でマッサージをするなどして対処します。

 なお、規定の90秒を過ぎてもプレーが再開できない場合は「ゲームの遅延」となりコードバイオレーションが科されます。

 ケイレンの場合は少し休むと持ち直すケースも見られますが、処置をしても改善されない場合は、「試合続行不可能」と判断してリタイアすべきだと思います。

 ただし、勝手に試合を止めるのはルール上許されていません。ケイレンでプレーができないとしても、最後はロービングアンパイア(セルフジャッジの試合会場を巡回している審判またはレフェリー)を呼んで事情を説明し、その判断のもとで「これでは試合は無理ですね」となった場合に限ってリタイアとなります。

解説●岡川恵美子
17歳で全日本選手権を制覇して日本初の高校生プロとなる。グランドスラム(四大大会)では、全豪オープン3回戦進出をはじめ、全仏オープンやウインブルドンの本戦に出場。現在はベテラン大会に挑戦しながら、ITF公認審判員、JTA公認審判員も務める。日本テニス協会理事。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2021年1号より抜粋・再編集

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