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「全てを乗り越えてここまで来られた」ドレイパーがBNPパリバ・オープンでマスターズ初優勝!自身初のトップ10入りも確定<SMASH>

中村光佑

2025.03.17

BNPパリバOP決勝でルネに快勝しトロフィーを掲げるドレイパー。世界ランキングも自己最高の7位にジャンプアップした。(C)Getty Images

 男子テニスツアー「BNPパリバ・オープン」(3月5日~16日/アメリカ・インディアンウェルズ/ハードコート/ATP1000)は大会最終日の現地16日にシングルス決勝を実施。第13シードで世界ランキング14位のジャック・ドレイパー(イギリス)が第12シードで同13位のホルガー・ルネ(デンマーク)を6-2、6-2で下し、殊勲のマスターズ初優勝並びにツアー3勝目を飾った。

 23歳のドレイパーは今大会、初戦の2回戦(シード勢は1回戦免除)で凄まじい成長を遂げている18歳のジョアン・フォンセカ(ブラジル/80位)に快勝すると、3回戦から準々決勝にかけて元33位のジェイソン・ブルックスビー(937位)、テイラー・フリッツ(4位)、ベン・シェルトン(12位)のアメリカ勢3人を連破。準決勝では大会3連覇が懸かっていた世界3位のカルロス・アルカラス(スペイン)を6-1、0-6、6-4で破って決勝へ駒を進めていた。

 ドレイパーが決勝で対峙したのはまだ21歳にしてすでにツアー4勝を挙げている元世界4位のルネ。両者は昨年8月の「シンシナティ・オープン」(ATP1000)準々決勝で1度だけ対戦しており、この時はドレイパーが4-6、2-6で敗れていた。

 しかしリベンジマッチとなった今回はドレイパーが終始主導権を掌握した。「試合の入り方が良かった」と語った通り、キレ味鋭いサービスとアグレッシブなストロークを軸に開始直後の第1ゲームから4ゲームを連取。反対に自身のサービスゲームでは相手にわずか4ポイントしか与えず、6-2で第1セットを先取した。
 
「昨日のアルカラス戦では、試合中にエネルギーが上下してしまった瞬間があったけど、今日はそこから学んでプレーできた」というドレイパーは第2セットも勢いを落とさず、第1、7ゲームでブレークに成功。サービング・フォー・ザ・チャンピオンシップとなった第8ゲームを難なくキープしてこのセットも6-2で奪い、1時間9分で試合を締めた。

 今年1月の全豪オープン4回戦で、アルカラスと対戦した際に股関節を負傷して途中棄権を余儀なくされるなど苦労も多かった中でつかみ取ったキャリア最大のタイトル。大会後に更新される世界ランキングでは自身初のトップ10入りも確定(7位に浮上)した。オンコートインタビューでドレイパーは次のように格別の喜びを語っている。

「信じられない。この結果は全く予想していなかった。それでも長い間、努力を続けてきた。こうしてコートに立ち、健康な身体でプレーできていることが本当に幸せだ。正直に言えば、自分はこの結果にふさわしいと思っているが、これまでの苦難や犠牲、周囲の人々が自分のために費やしてくれた時間や努力を考えると感慨深い。全てを乗り越えてここまで来られた。明日には世界7位になると考えると、どれほど意味のあることか言葉では表せない」

 一方敗れたルネはツアー5勝目と22年11月の「ロレックス・パリ・マスターズ」以来となるマスターズ2勝目はならず。大会後の世界ランキングは1つ上げて12位となるものの、昨年4月以来のトップ10復帰もお預けとなった。

文●中村光佑

【動画】ドレイパーVSルネの「BNPパリバ・オープン」決勝ハイライト

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