先日行なわれた女子テニスツアーのWTA1000シリーズ「BNPパリバ・オープン」(3月5日~16日/アメリカ・インディアンウェルズ/ハードコート)でボールボーイに向かってラケットでボールを叩きつけるという危険行為を働き、各方面から批判を浴びている世界ランク2位のイガ・シフィオンテク(ポーランド)。3月18日に自身の公式インスタグラム(iga.swiatek)を更新し、今回の一件について弁明文を投稿した。
事件が起きたのは現地14日に行なわれたシフィオンテクとミラ・アンドレーワ(ロシア/現6位)によるシングルス準決勝でのことだ。
この試合に6-7(1)、6-1、3-6で敗れたシフィオンテクは第3セット途中、リターン時にボールボーイが動いたと抗議するもポイントのやり直しは認められず。劣勢の中で苛立ちを隠せなかったシフィオンテクは、1-3とリードされて迎えた第5ゲームで0-30とされた直後に、あろうことかボールボーイから渡されたボールをラケットで地面に強く叩きつけたのである。
叩きつけられたボールは真正面にいたボールボーイの腕の近くをかすめるように通過し直撃は回避。しかし一歩間違えれば大惨事となりかねない愚行に及んだシフィオンテクに対し、観客からは大ブーイングが巻き起こった。ちなみにこの時の様子はSNS上でも動画で拡散され、シフィオンテクはそこでも多くのバッシングを浴びた。
批判の声を受けてシフィオンテクはインスタグラムで自身の一連の愚行に言及。下記のような弁明文を綴っている。
「今回の出来事についてですが、確かに私は自分の感情を表現し、それが誇れる形ではなかったと認めます。ただ、決して誰かを狙ってボールを打ったわけではなく、ただ苛立ちを発散しようと地面にボールを打ちつけただけでした。すぐにボールボーイに謝罪し、目を合わせながら会釈をして、自分の行動を悔やんでいることを伝えました。
多くの選手が試合中にフラストレーションを感じてボールを叩きつけるのを見たことがあるので、ここまで厳しく批判されるとは思いませんでした。普段はこうした衝動を抑えていますが、今回は冷静さを欠いて判断を誤ってしまいました」
昨季終盤にドーピング違反が発覚して約1カ月の出場停止処分(後に全面解除)を科せられ、その間に世界1位から陥落したシフィオンテク。以降メンタル面が不安定になり、「今もまだその経験を整理し、受け止めている最中」と明かす。その上で最後をこう締めくくった。
「私は試合中、感情をあまり表に出さずに集中していると『ロボット』のようだとか、『冷たい』とか言われてきました。一方で、今回のように感情を表現し、内面で葛藤しながら戦うと、今度は『未熟』とか『ヒステリック』だと言われてしまいます。この基準は健全とは言えません。特に、わずか半年前の私は、自分のキャリアが崩れ落ちるのではないかと感じながら、3週間毎日泣き続け、コートに立つことさえ嫌になっていたのです」
「これを話したところで、何かが変わるとは思っていません。なぜなら、人は他人を判断し、勝手な憶測を立て、意見を押し付けたがるものだからです。それでも、私のことを本当に理解しようとしてくれる人がいるかもしれません。いずれにしても、外部の評価に基づいた基準は私の基準ではなく、私や私のチームが他人の期待に縛られることはありません」
ボールボーイへのリスペクトを欠いたシフィオンテクの愚行。メンタル面の不安定さを考慮しても、トップ選手として許されるものではないだろう。
文●中村光佑
【動画・画像】ボールを叩きつけた場面とSNSでの弁明文
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この試合に6-7(1)、6-1、3-6で敗れたシフィオンテクは第3セット途中、リターン時にボールボーイが動いたと抗議するもポイントのやり直しは認められず。劣勢の中で苛立ちを隠せなかったシフィオンテクは、1-3とリードされて迎えた第5ゲームで0-30とされた直後に、あろうことかボールボーイから渡されたボールをラケットで地面に強く叩きつけたのである。
叩きつけられたボールは真正面にいたボールボーイの腕の近くをかすめるように通過し直撃は回避。しかし一歩間違えれば大惨事となりかねない愚行に及んだシフィオンテクに対し、観客からは大ブーイングが巻き起こった。ちなみにこの時の様子はSNS上でも動画で拡散され、シフィオンテクはそこでも多くのバッシングを浴びた。
批判の声を受けてシフィオンテクはインスタグラムで自身の一連の愚行に言及。下記のような弁明文を綴っている。
「今回の出来事についてですが、確かに私は自分の感情を表現し、それが誇れる形ではなかったと認めます。ただ、決して誰かを狙ってボールを打ったわけではなく、ただ苛立ちを発散しようと地面にボールを打ちつけただけでした。すぐにボールボーイに謝罪し、目を合わせながら会釈をして、自分の行動を悔やんでいることを伝えました。
多くの選手が試合中にフラストレーションを感じてボールを叩きつけるのを見たことがあるので、ここまで厳しく批判されるとは思いませんでした。普段はこうした衝動を抑えていますが、今回は冷静さを欠いて判断を誤ってしまいました」
昨季終盤にドーピング違反が発覚して約1カ月の出場停止処分(後に全面解除)を科せられ、その間に世界1位から陥落したシフィオンテク。以降メンタル面が不安定になり、「今もまだその経験を整理し、受け止めている最中」と明かす。その上で最後をこう締めくくった。
「私は試合中、感情をあまり表に出さずに集中していると『ロボット』のようだとか、『冷たい』とか言われてきました。一方で、今回のように感情を表現し、内面で葛藤しながら戦うと、今度は『未熟』とか『ヒステリック』だと言われてしまいます。この基準は健全とは言えません。特に、わずか半年前の私は、自分のキャリアが崩れ落ちるのではないかと感じながら、3週間毎日泣き続け、コートに立つことさえ嫌になっていたのです」
「これを話したところで、何かが変わるとは思っていません。なぜなら、人は他人を判断し、勝手な憶測を立て、意見を押し付けたがるものだからです。それでも、私のことを本当に理解しようとしてくれる人がいるかもしれません。いずれにしても、外部の評価に基づいた基準は私の基準ではなく、私や私のチームが他人の期待に縛られることはありません」
ボールボーイへのリスペクトを欠いたシフィオンテクの愚行。メンタル面の不安定さを考慮しても、トップ選手として許されるものではないだろう。
文●中村光佑
【動画・画像】ボールを叩きつけた場面とSNSでの弁明文
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