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レッスン

【テニスギア講座】パワー? コントロール? ラケットのフェイス面積が違うと、つまり何が変わるのか<SMASH>

松尾高司

2025.03.23

2013年に90平方インチの『プロスタッフSix.One 90』を使っていたフェデラー(左)。14年には97平方インチの『プロスタッフRF97オートグラフ』に持ち替え(右)、輝きを取り戻した。写真:スマッシュ写真部

2013年に90平方インチの『プロスタッフSix.One 90』を使っていたフェデラー(左)。14年には97平方インチの『プロスタッフRF97オートグラフ』に持ち替え(右)、輝きを取り戻した。写真:スマッシュ写真部

 今回のテーマはラケットの「フェイス面積」です。現代では各モデルに「フェイス面積バリエーション」がありますが、あの違いは結局のところ何に関係することになるのか、探ってみました。

 テニスショップに並ぶラケットフレームには、たいがい「○○平方インチ」という表示があります。これはフェイス面積=フレーム内側のストリング面の広さを示す数字で、フレームの幅はカウントされていません。

 昔のラケットは、基本的に「1モデル:1サイズ」であり、同モデルにサイズバリエーションなどありませんでしたが、『プリンスグラファイト』が初めてラージサイズとミッドサイズを揃え、他メーカーもこれに追随したことで、今日のように同モデルに4タイプものサイズがある時代となりました。

 選択肢が大きく広がったことはうれしいことですが、逆に多すぎて選ぶのが難しくなったとも言えるでしょう。

 かつてマッケンローは、75平方インチのレギュラーウッドから85平方インチのカーボン系フレームに換え、フェデラーは90平方インチのラケットから97平方インチへ拡大されたモデルへ乗り換えたことで、衰えかけたプレーに輝きを取り戻しました。世界のトッププロでも、サイズの影響は非常に大きいのです。

 では、実際何が違うのか? フェイスサイズと打球結果との関係を簡単に言うと――

■大きな面→ストリングが長い→たわみ量大→弾き返す力が大きくなる
■小さな面→ストリングが短い→たわみ量小→弾き返す力が小さくなる

 ということで、ラケット自体のパワーを決定します。

 またパワー以外では、大きな面だと「スピンがかかりやすい」「ミスショットが少ない」という傾向あり、小さな面だと「フラット系の推進力が大きい」「ミスショットが多くなる」と言えます。

 こんな違いを知り、プレーヤーは自分とのマッチングを検討するわけです。
 
 でもね、「2平方インチ」なんてわずかな差が、本当にプレーに影響するのでしょうか? サイズ違いのラケットのフレームを重ねてみると、ほんの2~3ミリしか違っていません。

 ただ人間って不思議なもので...わかるんですね。具体的な打球結果の数値がどうのということではく、フィーリングです。「こっちの方がしっくりくるな!」って感じは、間違いなくあります。だからメーカーも、ちょっとしか違わないサイズバリエーションをラインナップするわけです。

 ラケットフレームのスペックには、フェイスサイズの他に「フレーム厚」というものがあり、これもまた「打球パワー」に大きな影響を与えます。

 一般的な傾向としては――

◎面が小さめ:フレームは薄め
◎面が大きめ:フレームは厚め

 という組み合わせが多いですね。パワーアシスト効果の大小によって、どちらかに偏っているものです。

 ただ「薄ラケ系人気モデル」には、小~大まで4タイプものサイズバリエーションがある物もあり、プレースタイルと、自分が必要とするパワーレベルによって、幅広い選択肢から選べるようになっています。

 同モデルの薄ラケでも、コントロール性を重視するなら小さめ。パワーとスピンを両立させたいなら大きめ……といった感じですね。

文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2023年10月号より抜粋・再編集

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