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海外テニス

約18年ぶりにATP下部大会を制したチリッチが、ケガからの完全復活に意欲!「自分が進む方向に満足している」<SMASH>

スマッシュ編集部

2025.04.09

不屈の36歳チリッチは、1歩ずつトップフォームを取り戻そうとしている。「今はチャレンジャー大会に戻って懸命に頑張る時だ」と語る。(C)Getty Images

不屈の36歳チリッチは、1歩ずつトップフォームを取り戻そうとしている。「今はチャレンジャー大会に戻って懸命に頑張る時だ」と語る。(C)Getty Images

 スペインで開催された男子テニスのチャレンジャー大会「ユーロファームズ・ジローナ-コスタ・ブラバ」(3月24日~30日/スペイン・ジローナ/クレー)を制した元世界3位のマリン・チリッチ(クロアチア/現世界117位)。ケガからの復活を目指すベテランがATP公式サイトの取材に応え、戦列復帰までの過程やチャレンジャー大会での挑戦について語っている。

 2014年の「全米オープン」決勝で錦織圭を下したチリッチは、17年の「ウインブルドン」、翌年の「全豪オープン」と四大大会で3度決勝に進出。全豪直後の世界ランキングで自己最高の3位をマークし、30代に突入してからもトップ50を割ることはなかった。

 そんなキャリアに暗雲が垂れ込めたのは23年1月だった。試合中に右ヒザ半月板を負傷すると、34歳にして初めて外科手術を受ける。同年7月の「クロアチア・オープン」(ATP250)で一度は復帰したものの、ヒザの痛みに悩まされる日々が続いた。

 そこでチリッチは、自分のケガについて必死に情報を集めたという。

「インターネットを隅々まで探索し、ヒザの手術や回復、何をすべきか、何をすべきでないか、トレーニングの方法や、術後に鍛える部位について、数10の研究論文を読み漁ったんだ」

 やがて探求が実り、チリッチはシカゴの整形外科医でスポーツ医学の専門家であるブライアン・コール博士にたどり着く。そして昨年5月に博士の手術を受けたのだった。

「僕の年齢のアスリートにとって、どの選択肢・手段が最も適しているかがわかった。本当に救われたよ」
 
 リハビリを経て8月に復帰すると、9月にはATP250シリーズ「杭州オープン」(中国・杭州/ハード)を制覇。ATPツアー史上、最も低いランキング(777位)での優勝となった。そして今季、2月の「カタール・オープン」、「ドバイ選手権」を終えると、3月中旬からはいち早くクレーコートを選択し、先述の通りジローナのチャレンジャー大会を制した。こちらは、07年にリエカで優勝して以来、自身約18年ぶりのチャレンジャータイトル。23年に1歳年長のアンディ・マリー(イギリス)が作った記録を更新し、チャレンジャー大会において、前回優勝から最も間隔を空けた戴冠となった。

 下部ツアーから上を目指して戦うチリッチは、現状をポジティブに捉えているようだ。

「僕はもうトップ100でも50でもないことを受け入れなければ。だから、出場したい大会をただ選ぶってことはできない。今は集中して練習し、チャレンジャー大会に戻って懸命に頑張る時だ。それが僕にとって最初のステップ。その後は、気持ちを切り替え、若手選手たちと戦い、競い合い、良いプレーをするモチベーションを維持することだ」

 かつて全米決勝を戦った1歳年下の錦織も、復帰途上ではチャレンジャー大会で奮闘した。23年には「カリビアン・オープン」で、昨年11月には「HPPオープン」で優勝し、ツアーレベルへ戻ってきた。

 チリッチはツアー通算600勝まであと10勝に迫っている。これから自身が望むレベルを取り戻すことができるだろうか。36歳は決して力むことなく前を向いている。

「自分のランキングには本当に満足しているし、自分が進む方向にも満足している。今年がどんな年になるか見てみよう」

構成●スマッシュ編集部

【画像】チリッチの17年10カ月ぶりのタイトル獲得を称えるATPチャレンジャーツアーのX投稿

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