専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

テニス界の重鎮アガシが王者シナーの改善点を指摘!「相手を“縦方向”にもっと動かせると思う」<SMASH>

中村光佑

2025.05.18

「今よりも縦に相手を動かせれば、さらに恐ろしい存在になる」とシナー(右)の戦術に私見を述べたアガシ氏(左)(C)Getty Images(C)Getty Images

「今よりも縦に相手を動かせれば、さらに恐ろしい存在になる」とシナー(右)の戦術に私見を述べたアガシ氏(左)(C)Getty Images(C)Getty Images

 ドーピング違反による約3カ月の出場停止処分が明け、現在開催中の男子テニスツアー公式戦「イタリア国際」(5月7日~18日/イタリア・ローマ/クレーコート/ATP1000)で実戦復帰を果たした世界ランキング1位のヤニック・シナー(イタリア/23歳)。ブランクの影響を全く感じさせない質の高いプレーで順調に勝ち上がり、現地16日に行なわれた準決勝でもトミー・ポール(アメリカ/同12位)に1-6、6-0、6-3で逆転勝利。決勝では同世代の宿命のライバル、カルロス・アルカラス(スペイン/同3位/21歳)と注目の対決を迎える。

 中でもキャスパー・ルード(ノルウェー/元2位/現7位)との準々決勝におけるシナーのパフォーマンスはまさに圧巻だった。前週開催の「マドリード・オープン」(ATP1000)を制し、マッチ9連勝中と絶好調だったルードを寄せ付けず、6-0、6-1で完勝。このほど海外テニス専門チャンネル『Tennis Channel』に出演した男子テニス界のレジェンド、アンドレ・アガシ氏(アメリカ/元1位/55歳)もシナーの類まれなる強さを手放しに称賛している。

 しかし同氏は、23歳の若き王者にはプレー面でまだまだ成長の余地があると指摘する。シナーの強力かつ安定感のあるストロークが逆に相手を乗せてしまう可能性もあるとし、深いショットや左右に揺さぶるだけではなく、縦方向に相手を動かすプレーも積極的に取り入れるべきだと主張した。
 
「批判というほどではないが、何かを挙げるとしたら、シナーは相手を“縦方向”にもっと動かすことができると思う。シナーはボールを非常にクリーンに、安定して打ち続けるから、時に相手を調子づかせてしまう可能性がある。もちろん、彼はそれでも打ち勝てるだけのクオリティを持っているけどね。ただもし彼が今よりも“縦”に相手を動かすようになれば、さらに恐ろしい存在になると思う」

「これについては、ドロップショットを使うべきと言っているわけではない。例えば、同じように強打するバックハンドでも、ちょっとだけラケットのフレームの上側に当てて、短めに落とすことで、相手を前に引き出すことができる。それができれば、相手は返球時に(フォアハンド側に)回り込む余裕がなくなって、前に出ざるを得ず、次のショットでは後ろに下がりながら守らないといけなくなる」

「例えばフランシスコ・セルンドロ(アルゼンチン/18位)のように、重いラケットを使ってフォアで打ち込んでくる選手には、深くて直線的なショットばかりでは逆に対応されやすくなる。だから少し前に落とすようなショットも混ぜれば、相手は中に入って打たされるし、自分は守備に回りやすくなる。それがシナーの負担を軽くするはずだ」

 元世界王者として、アガシ氏はシナーの現在の実力に最大級の賛辞を送りつつ、さらなる進化に大きな期待を寄せている様子だ。23歳の若き王者が、どこまで自らの限界を押し広げていくのか。その歩みから目が離せない。

文●中村光佑

【動画】シナーVSポールの「イタリア国際」男子シングルス準決勝ハイライト

【関連記事】3カ月ぶりに戦線復帰の王者シナーに世界7位のルードが完敗!「彼のプレーはほぼ完璧だった」と脱帽<SMASH>

【関連記事】テニス王者シナーが新教皇レオ14世を訪問。ラケットを贈呈し「プレーしてみますか?」と談笑も<SMASH>
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号