キャリアの中で全てのテニス四大大会を制するという「生涯ゴールデンスラム」を達成しているレジェンド、アンドレ・アガシ（アメリカ）が、新たな挑戦に踏み出す。

　まもなく55歳になる彼が、急速に人気を集めるスポーツ「ピックルボール」のプロ大会に初出場することが明らかになった。舞台はフロリダ州ネイプルズで開催される「全米オープン・ピックルボール選手権」。18歳の新星アンナ・リー・ウォーターズ（アメリカ）と混合ダブルスでペアを組むのである。

　ピックルボールは、バドミントンと同じ広さのコートで行なうパドルスポーツで、近年アメリカを中心に爆発的な人気を博している。ウォーターズは、プロピックルボール協会（PPA）でシングルス、ダブルス、混合ダブルスの全てで世界ランキング１位に君臨するプレーヤー。フォーブス誌によると、彼女は昨年300万ドル（約４億3000万円）以上の収入を得たという。

　アガシは米メディア『CNBC』のインタビューで、「彼女はあまりにも勝ちすぎて、退屈していたんだろう。だから僕に電話をかけてきて一緒にプレーしてほしいと誘ってきた」と語った。ウォーターズも、YouTubeでアガシのプレーを見て、自らのパートナーにスカウトしたと明かしている。
  　実はアガシは、以前からピックルボールに力を注いでおり、妻で22度の四大大会優勝を誇るステフィ・グラフ（ドイツ）と共に、「ピックルボール・スラム」にも参加。100万ドル（約１億4300万円）を懸けてレジェンドたちが競演する舞台で、昨年大会ではジョン・マッケンロー（アメリカ）／マリア・シャラポワ（ロシア）組を下し、今年はアンディ・ロディック（アメリカ）／ユージェニー・ブシャール（カナダ）組を倒している。

　また、昨年８月にはピックルボール用品ブランドの「ヨーラ」とオリジナルのラインを立ち上げた。

　もっとも、今回のプロ大会出場が本格的な転向を意味するわけではない。アガシは、「もし自分の全てのエネルギーをプレーや身体の回復に集中できる余裕があれば、それは喜びだろう。でも、今は違う時期なんだ」と語り、あくまで一度限りの挑戦であることを強調した。 

　アガシが出場する「全米オープン・ピックルボール選手権」は、この競技で最大規模の大会で、４月30日に開幕する。アガシとウォーターズの異色ペアが、どのようなプレーを見せるのか注目が集まる。

構成●スマッシュ編集部

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