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海外テニス

全仏ナイトマッチの男子偏重を女子トップ選手は意に介さず。無理に女子をねじ込んで深夜になるよりマシ!?<SMASH>

中村光佑

2025.05.29

全仏OPのナイトセッションは今のところ男子に偏っているが、シフィオンテク(左)もガウフ(右)も特に気にしていない。それよりもガウフは深夜に試合をしたくないという意見だ。(C)Getty Images

全仏OPのナイトセッションは今のところ男子に偏っているが、シフィオンテク(左)もガウフ(右)も特に気にしていない。それよりもガウフは深夜に試合をしたくないという意見だ。(C)Getty Images

 熱戦が続くテニス四大大会「全仏オープン」。今、大きな議論を呼んでいるのが、2022年からセンターコート“フィリップシャトリエ”に導入された「ナイトセッション」(夜の部/最終試合)における、男女平等を無視した試合選定だ。

 通常四大大会ではナイトセッションに2試合が組まれるが、唯一全仏オープンでは現地時間20時15分開始の1試合のみ。そこでは観客動員数や中継視聴率といった興行的観点から、シングルスの好カードが組まれる傾向がある。

 今大会は、開幕4日目を終えた時点でナイトセッションに組まれたのは全て男子の試合であり、5日目の現地29日も同様だ。『Sportskeeda』など複数の海外メディアは、それに対して「男子が優遇されているのではないか」との批判の声が一部で上がっていると伝えている。

 事実、全仏オープンのナイトセッションが男子の試合に偏る傾向は毎年のように見られる。今大会にディフェンディングチャンピオンとして参戦している女子元世界1位のイガ・シフィオンテク(ポーランド/現5位)もかつてはそうした状況を糾弾していた。だが今は特に気に留めていない様子だ。

 現地26日昼にセンターコートで行なわれた女子1回戦でレベッカ・スラムコワ(スロバキア/42位)に勝利したシフィオンテクは、試合後の会見で「男子の試合がナイトセッションに組まれ、より大きな注目を集めていることについて不満に思うか?」との質問に「いいえ」と素っ気なく回答。「私がスケジュールを決めているわけではない」と一言付け加えるだけにとどめた。
 
 翌27日昼に同じくセンターコートで実施された女子1回戦でオリビア・ガデッキ(オーストラリア/91位)に勝利した世界2位のココ・ガウフ(アメリカ)にも、会見で同じ質問が飛んだ。それに対してガウフは「ナイトセッションが1試合だけなら、女子の試合がその枠に入ってもいいとは思う」としつつも、「特に気にならない」と答え、こう続けた。

「全仏オープンは少々特殊で、夜は1試合しかない。正直、20時15分の試合の後にプレーしたい女子選手はあまりいないと思う。違っていたら教えてほしいけど、ほとんどの選手はその前にプレーしたいんじゃないかしら。18時半や19時に女子の試合を入れる選択肢はあるとは思うけどね」

 さらにガウフは、他の四大大会でもメイン枠かつ最終試合となるナイトセッション第2試合に女子の試合を組むことも難しいと考えている。

「男子の試合の後で深夜0時近くに試合が始まるのは、ほとんどの女子選手にとって避けたいケースだと思う。こればかりは大会ごとの方針によるでしょうね。全仏では夜に1試合というのが大会の意向なのだと思う。ほとんどの大会では夜に2試合あって、1試合目が19時開始、その後にもう1試合という形になっているけど、あまり文句は言えない。最終的には大会の判断に委ねられる」

 近年は男女平等が強く謳われているテニス界。興行的な成功と競技の公平性をどう両立させるかは、今後も各トーナメントでの重要な課題となりそうだ。選手の声を反映しながら、よりバランスの取れた運営が求められる。

文●中村光佑

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