男女のプロツアーがあるテニス界では、男女平等についてよく議論されます。しかし、男子シングルスと女子シングルスを同じ土俵で比較するのは困難です。女子の賞金額が男子に追いつくためには、女子テニスを魅力的なものにしていく必要があると思います。

　190センチを超える選手が多くいる男子テニスの試合は、パワーとスピード感があります。女子はその点で勝てませんが、ラリーが続くため展開の面白さを見せられる点は魅力です。選手がプレーの幅や技術を向上させることはもちろんですが、観客にその魅力をわかりやすく伝える工夫も必要でしょう。

　華やかさも魅力の１つです。テニスウェアはファッションを先取りしていると思っています。現代だと、そのまま同じ物を着るというよりは、テニスウェアで使われた色やデザインが、一般の洋服にも反映されていると感じます。

　シャラポワさんが現役の時は、グランドスラムのたびにウェアが注目されましたし、ナイトセッション用のウェアも登場しました。もっとコート上の華やかさをクローズアップしてアピールする方法もあると思います。

　スポンサー集めやメディアの露出を多くするためには、ツアーにおける大きな大会においてはレセプションパーティーをより華やかにするのもいいかもしれません。本戦前のレセプションパーティーの出席は、上位選手は義務になっていることも多くあります。

　ちなみに下部大会はまた意図が違ってくるので区別する必要があると思っています。正直、パーティーといってもその大会のトップシード選手たちにとっては、大会直前であり食事を楽しめる時間もままならず純粋に楽しめる時間ではありません。
  　ただ大会はスポンサーがあってこそ開催され、継続するには多くの方たちのサポートや理解がなければならないため、トップ選手たちもパーティーの意味を理解する必要があります。

　これも考え方です。例えば、収入に対する選手への分配率を上げれば、選手たちの受け止め方にも変化が生まれるのではないかと思います。大会側が出場選手全員ではなくトップシードの選手や人気のある選手たちへはテンションが上がる要素を加えることも必要で、服やヘアメイクを用意するなども１つのアイディアでしょう。

　普段は勝負と向き合いコートの中で戦う姿ばかりの露出になります。やはり女性はファッションや美ということに多くの選手は興味を持っています。だからこそ女性ならではの魅力を引き出せる機会を増やすことは選手たちも前向きなはずです。

　華やかな選手たちが登場するとなると、メディアも興味を持ってくれて露出される機会が増えます。女子テニスや選手の認知度が上がることで、人気スポーツになる可能性が大きくなります。上位選手の負担は変わらなかったとしても、その重要性がはっきりすれば、納得して良い循環になるかもしれません。

　華やかさよりもテニスの内容が大事と考える人もいると思いますが、女子テニスを魅力的なスポーツするためには、興味を持つ母数を増やすことは重要です。男子テニスとは違う視点で、女子テニスの魅力を作っていくことが地位向上につながっていくのではないでしょうか。

文●伊達公子
撮影協力／株式会社SIXINCH.ジャパン

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