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海外テニス

オージー伝統のサーブ&ボレーで勝負したパット・キャッシュ。下半身の強さを生かしたボレーが特徴的【レジェンドFILE10】

スマッシュ編集部

2020.02.06

ネットプレーに長けたキャッシュは特に芝で強さを見せた。写真:スマッシュ写真部

ネットプレーに長けたキャッシュは特に芝で強さを見せた。写真:スマッシュ写真部

 今はあまり聞かなくなったが、かつてテニス界には「アメリカン・テニス」、「オーストラリアン・テニス」という言葉があった。アメリカン・テニスは強烈なサービスをバックボーンにしたパワーテニスを意味し、オーストラリアン・テニスはコート全体を使うオールラウンドプレーのことを意味した。

 その体現者がこのパット・キャッシュや、彼の後継者とされるパトリック・ラフター。ショット単体の威力ではなく、ショットとショットを融合させた流れるような攻撃が魅力で、速いサーフェスを得意としていた。

 キャッシュの生涯唯一のグランドスラム優勝は1987年のウインブルドン。このことからもわかる通り、キャッシュは速いコートで力を発揮したサーブ&ボレーヤーだ。
 
 ただし、マッケンローやエドバーグのように天才的なボレーセンスを持っていたわけではなく、粘っこく、深くコントロールしていくのが、キャッシュのネットプレーの特徴。練習によって培ったそのボレーは、一般プレーヤーにも参考になるタイプだった。

 このバックボレーの分解写真にも、キャッシュの基本に忠実なボレースタイルが表れている。重心を低くしてボールに入り、打球後もヒザを深く曲げて体勢をキープ。フォロースルーは小さく、ボールを強く叩くタイプのボレーではない。

 足腰の強さを生かした堅実なネットプレーは、オーストラリアの伝統的なスタイルと言える。

【プロフィール】パット・キャッシュ/Pat Cash(AUS)
1965年生まれ。ATPランキング最高位4位(88年5月)。グランドスラム通算1勝(WIM:87年)。特に芝で活躍したサーブ&ボレーヤーで、87年ウインブルドン決勝では、レンドルをストレートで破って優勝。オーストラリアの男子テニス選手としてはジョン・ニューカム以来14年ぶりの覇者となった。デビスカップ代表選手としても、83~90年まで8年連続で出場し、オーストラリアの優勝に2度貢献。ロック好きで知られ、マッケンローとバンドを組んでレコードを発売したこともある。

編集協力●井山夏生 構成●スマッシュ編集部

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