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跳ねるサービスは間合いを詰めてジャックナイフリターン! 白石光が挙げる鍵はタイミングと軸の維持【プロが明かすテニス上達法】<SMASH>

スマッシュ編集部

2025.06.24

白石光プロのジャックナイフリターン。コートの中に入って間合いを詰め(1~4コマ目)、素早いテイクバックから(5)、軸を真っすぐに保って前でヒットする(8)。写真:THE DIGEST写真部

 プロテニス選手は、高度なショットをいとも簡単に叩き込む。なぜあんなボールが打てるのか? その秘訣をプロ本人に明かしてもらうシリーズ。今回は早稲田大学を卒業してプロ3年目、頭脳的なゲームメイクでITFツアー5勝を挙げている白石光選手の3回目だ。ジャックナイフによる攻めのリターンのポイントを教えてくれた。

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 2ndサービスに対するリターンは、前で打とうという意識を常に持っており、バックハンドはほぼ100%ジャックナイフを選択します。あらかじめポジションを上げて構えて(写真1コマ目)、サービスが打たれると同時にベースラインの中でスプリットステップし(3コマ目)、前に踏み込んで攻撃的に叩きにいきます(5コマ目)。

 特に外国人選手のサービスは跳ねるので、跳ね上がる前に取りたい。それにはジャンプしないと高さ的に間に合いません。一時期、下がって返したこともありましたが、最近は前で打とうと決めて、ジャックナイフをリターンのメインにしています。

 とはいえ技術的には結構難しいショットで、ここまで前に詰めて跳びながらリターンすると、普通は打点が遅れてしまいます。かなり早くラケットを引いて、ボールを待つのがポイント(5コマ目)。直前で引くと間に合いませんが、この写真ぐらい余裕を持てれば、自分の身体よりも前の、いい打点で捉えることができます(8コマ目)。

 ジャックナイフは、足の使い方うんぬんではなくタイミングが鍵です。片足で跳んでボールに合わせるので、普通のストロークよりも軸がブレやすいし、跳んでしまったらもうごまかせません。間に合わないからといって、スライスやロブに変えたりできない。だからピッタリのタイミングで跳ぶことが重要なんです。
 
 タイミングというのは、ボールの上がりばなを打つのはもちろんですが、"間合いを詰める"というんでしょうか。僕は、球は速くありませんが、相手の時間を奪う方法として間合いを詰め、早い打点でパパンと打ち返して速く見せるということを意識しています。ジャックナイフはそれが一番やりやすいショットなんです。

 あと大切なのは、跳んでいる時のバランスですね。僕はこの体勢からでも、軸をブラさずに鋭いボールを打てるのが自分の武器だと思っています。8コマ目を見ても、相当いいバランスで真っすぐになっていますよね。

 小さい時からバランス感覚は優れていましたが、高校時代から体幹トレーニングに力を入れてきたのも大きいと思います。今も試合期間中を含め、毎日続けています。体幹は軸を保つ上で大事。マットがあればどこでもできるし、年齢も問わないので、一般の方にもぜひお勧めです。

【プロフィール】白石光/しらいしひかる
2000年5月22日、東京都生まれ。170cm、62kg、右利き。高校総体3冠を取って早大に進み、インカレ王者に。プロ転向後、23年全日本選手権で準優勝。ITFツアーではこれまでに5勝を挙げている。頭脳的な配球と粘り強い守備からの多彩な反撃が武器。日本ランク最高10位。SBCメディカルグループ所属。

構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2024年1月号より再編集

【連続写真】白石光のジャックナイフによる攻撃的リターン『30コマの超分解写真』

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